・中学校の選択


 小学校の選択時にいやな思い出がある私は、今度は失敗しないようにしようという思いが強くありました。
また、小学校高学年で、数々のトラブルを経験して、このまま普通の中学に行かせてよいものかとも思いました。
加えて、学区内の中学校は、昔から校内暴力などが多発し、荒れている印象が強い学校でした。
しかし、ルカに尋ねると、「みんなと同じ学校に行きたい。今度は、普通級なんてどう?」などと、お気楽なことを言っていました。
親とすれば、交流級の子供達に、ひどいことをされていたという思いがあったのですが、ルカにとってみれば、それは一部のことであって、彼は今でも、
「小学校がなつかしいなあ。楽しかったなあ」
と言っています。
ルカの言葉に、私の方が救われる思いがしました。
考えてみれば、何か困ったことがあったときは、私に相談をしていたルカですが、それ以外の学校での普通の暮らしというものを、私は知りませんでした。
ルカの言葉から、学校での暮らしがそんなに悪いものではなかったということが、わかりました。

結局、いろいろ検討してみた結果、私はルカの「みんなと同じ学校に行きたい」という希望を受け入れることにしました。
ただし、普通級へというのは、ルカは個別の学習の方が向いているということを本人に話し、また、友達のとのつきあいも、ずっと普通級にいたら、大変ではないかという話をし、本人にも納得してもらいました。
このことに関しては、別に普通級へという強い願望があったわけではなかったようで、引き続き、特殊級に入ることに快く同意していました。

学校の選択といっても、ごく普通の家庭では、経済的なことやいろいろなことを含めて、なかなか、希望の学校にいれるというのは、難しいと思います。
ましてや、アスペルガーの子供にぴったりという学校なんて、日本に存在するのでしょうか?
また、障害を持っている子供だけを優先して、例えば、いい学校の近くに引っ越すとか、私は、そういうことはしたくないと思いました。
父親がいて、母親がいて、妹がいて、そしてルカがいるのです。
家族全員が、幸せになれる道を選択するのが、ベストではないでしょうか。
自分のために、家族が犠牲になっている、そんな思いを、ルカにさせたくはありませんでした。

ルカの小学校からは、2校の中学校へ、居住区ごとに分かれて行くようになっています。 この2校の、どちらかを選択しようということになりました。
私と夫とで、中学を見学することにしました。
本人を連れていこうとも思ったのですが、もし、親と本人の意見が食い違ってしまうとめんどうなので、どちらかの選択は、親がするということで、本人にもわかってもらいました。
見学してみると、学区内の中学は、確かに荒れているという話でしたが、(まあ、今はどこの中学の先生も、荒れていることを素直に認めていますが・・・・)特殊級は、なかなかしっかりと授業をしていました。
教室の構造も、小学校と同じような構造で、これなら、ルカも不安なく過ごせるだろうと思いました。
見学にいったときは、4人のクラスでしたが、そのうち3人は卒業と言うことで、ルカが入学するときは、ルカを含めても2人になるだろうと言うことでした。
一人残る子供は、女の子で、軽度の精神遅滞であろうと、思われました。
話し方は、ルカより自然で、穏やかな感じだったので、この子とだったら、うまくやっていけるかなあと思いました。
もう一つの中学校も見学に行きましたが・・・・コメントは、差し控えたいと思います。建物や教室はとっても立派な学校でした・・・・
ちなみに夫は、建物の立派さに惹かれたのか、もう一つ中学の方がよいという意見でしたが、私の独断で、夫の意見は却下させていただきました。ゴメンナサイ!!

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