叙事詩『アシマ(阿詩瑪)』伝説。
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写真真ん中の茶色の岩がアシマ岩。アシマが右側を向いている。 |
昔、アシマ(阿詩瑪)という名の美しい娘がいた。地主の大金持ちルプパラは、アシマを
息子アジーの嫁にしようとした。ルプパラ家は評判が悪かったため、アシマの両親が嫁入
りを断った。ところがルプパラは強引にアシマを連れ去ってしまった。これを聞いたアシマ
の兄アヘィが妹を助けに向かった。ルプパラ父子は無理難題をふっかけたが、アヘィは
次々に難問を解決していった。にもかかわらずルプパラはアシマを返そうとしなかった
ため、アヘィは得意の弓を使って攻撃し、アシマを救い出した。ルプパラは洪水を起こして、
アシマを奪い返そうとした。アシマは流されてしまい、彼女の魂はこだまとなった。
伝承によっては内容が少し異なる話もあるが、これが「アシマ」のあらすじとなっている。
「アシマ」のストーリーはミュージカル風の映画にもなり、中国全土で知られるようになった。
日本でも『夕鶴』などで有名な木下順二が戯曲『阿詩瑪』を著している。現在、サニ人の間
では女性をアシマ、男性をアヘィと呼ぶ習慣がある。
「アシマ」岩はゆったりと開けた場所の中央にあった。石柱の先は右側を向いた顔の形
をしている。人間の姿をしているわけではものの、孤立して立っている石柱には何か
特別な意味が感じられる。アシマの姿だと考えられたのは、ごく自然なことだったのだろう。