あ行から始まる作家さん


遠藤周作

沈黙(新潮文庫) 切支丹禁制の鎖国時代にポルトガルから日本へやってきた司祭のお話。
遠い昔、高校生の時どの本を読んでもさして感動しなかった私を感動させてくれた本です。
「神の沈黙」というきわめて宗教的なテーマですが、宗教を持たない私でも、主人公の生き方に共感を覚えました。
最終ページに涙。
深い河(新潮文庫) 沈黙は作家の初期の作品ですが、この深い河は晩年の長編小説であり、日本人でありながらクリスチャンだった作家が、神をどうとらえてきたかを語る集大成と言えるものです。
インドが舞台であり、今は近代化されているインドですが、混沌としたガンジス川流域の姿に圧倒されながらも、私はそこへ行く勇気はないな〜と思ってしまいます。
神−タマネギ論が印象的です。
深い河をさぐる(文春文庫) 深い河をテーマに作者と著名人たちの対談集です。
冒頭は現在俳優で大活躍の本木雅弘との対談で、本木くんって頭いいなーと感じさせてくれます。
本文はともかく、解説の余談「深い河」が好きです。


小川洋子

妊娠カレンダー(文春文庫) 芥川賞受賞作品の表題の他、2編が収められています。 平凡な日常生活の中に潜む非日常的な心理、とでも言いましょうか? 残酷な心理ではあはありますが、なぜかこういうのもありかなと思いました。 リアルな描写が怖いです。
博士の愛した数式(新潮文庫) 80分しか記憶が持たない博士とそこへやってくる家政婦とのエピソードがちりばめられ、
読んでいて温かい気持ちになります。
妊娠カレンダーのイメージしかなかった作家さんの新しい一面を見た気がしました。
数学を文学的に表現していて面白いです。


荻原 浩

メリーゴーランド(新潮文庫) とても軽いタッチですが、実は公務員の実態や地方自治の問題が書れていたりして、奥が深いです。
ドラマ化しても面白いだろうな〜と思いました。


奥田英朗

イン・ザ・プール(文春文庫) 私は、メンタル面で問題を抱えている人のお話が基本的に好きなのですが、時として重すぎ〜と思うこともあります。
そこへ行くとこれは笑えます! 
映画化もされましたが、原作を読んでから映画を見ると面白さが違ってきますね。


阿刀田高

旧約聖書を知ってますか(新潮文庫)

新約聖書を知ってますか(新潮文庫)
聖書を実にわかりやすく解説しています。
中学の頃から海外文学に興味があって読み始めたのですが、背景に宗教があることを知らなかった私は、たちまち行き詰まり、本を全く読まなくなってしまいました。
あのころこの本があったら、少しは理解できたかも。
聖書は取っつきにくいですが、どんなことがかかれているか知識があった方が、読書をする上で楽しさが格段と違ってくると思います。


小野不由美

屍鬼1〜5(新潮文庫)

小野不由美さんのお話はファンタジーでありながら、すんごく読み慣れない漢字が多くて、
その手の本を読み慣れていない私には取っつきにくいのですが、これは面白かったです。
全部で5巻あるので、長編小説の常で序盤はゆっくり進みます。
でもだんだんその世界に引き込まれて行って、一気に読めます。
日本版吸血鬼?? もの悲しい村人達の運命に引き込まれます。