・近況報告316

一年を振り返って

また一年が過ぎようとしています。
毎年毎年、時が過ぎる速さに加速度がついて、一年なんてあっという間の出来事のように思います。
とは言っても、毎日毎日が何の問題もなくただ通り過ぎていくだけかと思えば、そうでもなくて、けっして楽しいばかりでもなくて、タダ生きているだけでも結構大変なもんだな〜などと感じています。
そんな少々後ろ向きの気持ちで、ふっとルカを眺めて見れば、ルカはいつもなんだか楽しそうで、仕事も毎日きちんと行っていて、親でありながら「毎日、よく頑張れるよなー」とうらやましくさえ思うことがあります。

社会人2年目のルカ。
「去年より仕事が難しくなったなーなんて思うことない?」と聞いて見ると
「いや、仕事の内容は変わらない。でも、指示されていることが少し複雑になってきているかな〜?」とルカ。
もともと、仕事自体は単純なのことなのですが、その時と場合によって、対応の仕方が異なることが今年は多くなっているようです。
私生活では、夏休みにバイクの免許をとって、楽しみが増えたことがあげられます。
友人とのつきあいも積極的で、いつもルカが日程や集合場所を決めて、みんなを誘うようになってます。
彼にそんな能力があるとは思っていなかったのですが、時々私からの助言を参考にしながら、なんとかみんなをまとめているようで、これはうれしい誤算でした。
また、社会人1年生の友人がメールで愚痴を送ってくることにも、先輩らしく冷静に対応できるようになってきました。
「年上ぶるのはいやなんだ。俺はまだまだそんな人間じゃないから」と言っていたルカも、仕事を続けることによって、少しずつ自信が出てきたようです。

ルカの毎日を見ていると、自閉症の人っていうのは、こうして決まった時間に仕事をして、毎日毎日が単調に過ぎていくのが、やっぱり安定して暮らせる要因なのかな〜と思うことがあります。
20歳の若者なら、「俺にはもっとやりたいことがあるんじゃないか?」とか、まだまだ自分探しの時ですよね。
特に最近はその自分探しが長すぎて、なかなか仕事に就けなかったりということが問題となっています。ルカは障害があるから、出来ることは限られていて、だから選択肢もなくて、進路が決めやすかったとも言えるのですが、何よりも、それを本人が認めていて、現状に満足しているということが、安定の要因なのかもしれません。

話は変わりますが、フジテレビでやっていた自閉症の人とその周囲を描いていた連続ドラマがこの間終わりました。
私は、この「僕生き」シリーズが好きで、前から見ていたのですが、今回は自閉症の人が主人公ということで少し複雑な気分でした。
でも、以前は自閉症の人を描いたドラマは、自分と近すぎて楽しめなかったりしたのですが、私も大人になったということでしょうか・・・今は自閉症の人のドラマということであっても、単純にドラマとして楽しめるようになってきました。
ドラマなので、現実とのギャップは必ずあるものです。でも、そんな中に「あーそうだなー」と共感できるリアリティーをどれだけ感じることができるのか?というのが、楽しみでもあります。(リアリティーあり過ぎも疲れるし、ほどほどがいいですね)
今回は自閉症の人のことがわかっているだけに面白いなーと思ったシーンや、自閉症の人そのものより周囲の人の心境の変化かがよく描かれていてとてもいいドラマだったと思います。
そのドラマの中で、自閉症の人の母親が言っていた言葉がとても印象に残りました。

「できることが多いのが良くて、少ないのが悪いって事じゃないの・・。自分のできることを一生懸命にやればいいの。」

なかなか親の立場で、こんな言葉をすんなり言えませんよね。
私もこんなことは子供に言ったことはありません。
でも、ルカを見ていると、つまりはそうなんだなと納得がいくのです。
彼は、自分のできることを一生懸命やっています。
「あれができたらなー、これができたらなー」と思うこともあるはず。でも、できない現実があることも彼は知っています。 だからこそ、できることをただひたすらにやっているのです。そうして、毎日が楽しそうです。
私もルカを見習って、不平不満を言わずに自分のできることをコツコツやっていけたらいいのですが・・・なかなか難しいですね。

さて、今年の近況報告はこれでおしまいです。 今年も私のつまらないおしゃべりにつきあって下さってありがとうございました。
来年は1月2週目から再開する予定です。
良いお年を!

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