・近況報告288

正直者

「実は俺、まだ母さんに報告してないことがあったんだ」
夜テレビを見ていると気まずそうにルカが話しかけてきました。
ややこしい話になるのかな〜とちょっとドキドキしながら話を聞いてみると
「この間の青年学級でね」と、ルカが話し始めました。
青年学級とは、ルカの母校で卒業生を対象に開かれている集まりです。
4月末に今年度の開校式がありました。
ルカはとっても楽しみにしていたので、久しぶりに会った友達と心ウキウキで、先生の話の時にも静かに聞くことができなかった様子です。
それで、はじめは先生も小さい声で「話を聞いて」と言っていたのが、ついにぶち切れたもようで 「ちゃんと話を聞いて下さい。それでも社会人かー!!」と怒鳴られてしまったとのことでした。
「これ話すと母さん絶対怒るでしょ。だから今まで黙ってたんだー、遅れて報告しちゃってごめんねー」とルカ。
ルカだけが怒鳴られたわけでもなく、全体注意だったわけですが、自分もしゃべっていて話を聞いていなかったという自覚があるためか、「ヤバイ」と感じていたようでした。
でも・・・私からすると、そんなことまで報告しろとは言ってないんだけどなー、この子、何歳までこうやって正直に報告してくるのかしら?と言うような気持ちでした。
「それはちょっとまずかったね〜。でもみんな久しぶりに会って気持ちが舞い上がっちゃったから、仕方ないか」
と予想に反して、私からは怒られなかったルカは
「あー、これですっきりした〜」と、一ヶ月間黙っていたことを無事に言えて、満足の様子なのでした。
調子に乗って「友達が学校の外で会うのはいいけど、学校行事に参加するのは嫌だって言っていた意味がわかったよ。いちいちうるさいよね」とも言っておりました!

そう言えば意外なことに、ルカは学校より職場の方が楽だということがあります。
なぜかというと、学校では校則があって、服装や持ち物等々いろいろうるさく言われたが、職場では仕事さえしていれば何にも怒られることがないから、だそうです。
職場の人間関係に恵まれているルカは、怒鳴られるという経験も未だにしていないようだし、今回久々に学校の先生に怒鳴られて、学校生活がよみがえってきたようでした。
確かにルカの言うことにも一理あります。大人なるにつれて、叱ってくれる人っていなくなるんですよね。
学生生活ではいちいち注意されて、うるさいなーと感じてしまうものですが、教えてもらえるのは子供のうちだけです。
そのうちに、しっかり学んで欲しいなと思います。

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