仕事の手順
ルカも職場にだいぶ慣れて来ましたが、雑談できるような人もいないので、職場の情報はもっぱらオバサンたちの噂話を小耳にはさむと言う形になります。
実をいうと、ルカが実習中からちょっと怖いなーと思っているオジサンが一人います。
この頃は仕事に慣れてきたせいか、怖いというイメージはなくなったようですが、よく、仕事のことでいろいろ言われていることは事実。
言われたとおり、そういうもんかなーと、素直にやっていたルカですが、ある日おばさん達が
「あの人、口うるさいよね〜」と言っているのを小耳にはさんだようなのです。
「実はさー、職場の人をそんなふうに思っちゃいけないって、思うことにしてたんだけど・・・・ それ聞いたら、やっぱりうるさいなーって思うようになってきて・・・」とルカ。
「まあ、思うことは自由だし、ルカにだけ細かいことを言っているわけじゃなくて、みんなに言っているんだね。そういう性格の人だって思っていれば、気が楽なんじゃないかなー。」と私。
それで一件落着と思ったら・・・。
「そうだよね。でも、ちょっと困ったことがあってね。例えば、そのオジサンが"こうしてね"って言ったことでも、後からオバサンに"そこまでしなくていい"って言われて・・・ どっちにしたらいいか迷うよね〜。その他にも人によってやり方が違うから、誰の言うことを聞いたらいいかわかんなくなる」とルカ。
うーむ。これは難しい。
自閉症の人は、手順を固定して変化がない方がやりやすく、急にやり方が変わると混乱してしまう人もいます。
でも、実際の職場って、結構やり方がコロコロ変わるのは、私もちょっとパートの仕事をした時にいつも感じることです。「全くどのやり方が正解なんだよ〜」と文句を言いたくなるのは、自閉症の人じゃなくても誰しも感じるところでしょう。
でも、だんだん慣れてくると自分にあったやり方がわかってきて、違うやり方を・・・と言われても、そこは「はい、はい」と適当に返事をしておいて、聞き流してしまう、ということができるわけです。
ルカの場合はそうはうまく立ち回れないので、結構動きが止まってしまうこともあり、そんなときは、オバサン達も気がついて
「あー、わかんなくなるよね〜」と言ってくれることもあります。
でも、大体は自分で判断しなければならず、ルカの場合、最初言われた人のやり方を遵守しているようです。
「あーあ、俺も自分のやり方で好きにやりたいけどなー」とルカ。
「そうだね〜。まだ一年たってないし、好きにやるのは早いよね。何年も働いていたら、そのうち自分のやり方でやっていて、他の人もあんまり言わなくなるかもね。」と言っておきました。
・・・この話、なるべく皆さんにわかりやすくまとめて書いているつもりですが、実際のルカの話はもっとわかりにくいです。
こういう仕事の時に・・・と、仕事の説明から始まるのですが、私は実習の時に一度職場をみただけなので、なかなかルカの話だけでは、どんな仕事をしているのか、具体的にはわかりません。
そんな中でのアドバイスは、正直自信がないんですけどね。
学校みたいに授業参観があるわけでもないし、もどかしいなーと思うこともあります。
でも、いつまでも親を頼っているわけにはいかないし、仕事への具体的なアドバイスというよりは、聞き役に徹した方がいいのかな〜と思っています。
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