・近況報告235

歯医者

先週、ルカの保険証が来るのを心待ちにしていた私、その理由は後日、と書きましたが、思ったよりも早く、その理由を書くこととなりました。

実はルカが就職するにあたって、一番の懸案事項が歯科の通院でした。
古くからこの近況を読んで下さっている方はご承知しているかと思いますが、ルカは歯医者さんが苦手。幼少のみぎり、普通の歯医者さんに行って大暴れし、出入り禁止となったイタイ思い出があります。
それからは、障害児専用の歯医者さんに通っていたのですが、これが平日の午前中しかやってないのです。
学校にいる間は「歯科通院」ということで、半年に一度くらい堂々とお休みをとっていたのですが、就職するとそうもいきません。理由を話せばわかってもらえる職場ではありますが、ルカの気持ちとしては、できるだけ会社をお休みしたくないとのこと。これは、考え方によってはチャンス!!なのです。
ルカはもう長い間障害児専用の歯医者さんにいってますが、一人で通院していて、ほとんど問題がないようなのです。
問題は、ルカの気持ちだけ。
幼い頃、自分が暴れ出してしまったことがトラウマとなり、普通の歯医者さんにいけるはずはない、と思いこんでいるのです。
でも、会社は休みたくない…よし、いい機会だから近所の歯医者さんへ検診だけでもいくよう説得しよう、ということで、ルカにはだいぶ前から話をして、ルカも渋々了解していたのでありました。
そして私は、ルカの健康保険証ができたら歯医者さんの予約をとろうと、首をながくして待っていた、というわけです。
ご近所の歯医者さんは、いちおう「障害者歯科治療協力医療機関」のリストに載っているので、あらかじめ知的障害(自閉症やアスペだとわかりにくいので)ということで電話をいれました。
その週の土曜日にすんなりと予約がとれ、ルカにも話しました。
「急な話だなー」と、ちょっと渋ったルカですが、
「大丈夫、障害があることを話しているし、検診だけだって言ってあるから」と私。
「まあ、いくことにはいくけどさ、多分、またあばれるんじゃーないの〜?」とルカ。
「そんなー、18歳の大きな図体で暴れられたら困るわよ。ルカが暴れるなんて、もう何年も見たことないわ。大丈夫よ」と、私はたいして根拠もなく「大丈夫」を連発し、予約の日、歯医者にルカと行ったのでありました。

受付でしばらく待たされ、受付からどんな子かな〜とのぞきにきているような感じ…気のせいでしょうか? そして名前を呼ばれて診察室へ。
私も一緒についていきました。
ルカはスムーズに椅子に座り、口をあけてます。
歯医者さん「はい、それではレントゲンを撮りましょう」
ルカ「えっ、レントゲン?」
(し、しまった〜。レントゲンのことを言うのを忘れた)と思いつつ 「動かなければすぐ終わるよ」と私。
そしてルカはレントゲン室へ。
無事取り終わったかと思ったら、ちょっと動いてNG。
「あら、ルカ動かないのよ〜」とのんびり構えていた私ですが、ふと周りを見ると歯医者さんも、看護婦さんもかなり緊張のご様子…やっぱり18歳の今まで障害児専用の歯医者しかいってなかった子というのは、周りもどんなことになるかわからなくて、緊張するのね、いかん、いかん、私ももっと真面目な顔をしなければ、と反省。
結局、歯医者さんもレントゲン室に入ってもらって、無事レントゲンを撮ることができました。

レントゲンを見た結果、今のところ虫歯の治療の必要はないとのこと。やったー!!
歯医者さん「それでは歯石をとって終わりにしましょう」
歯石って、ルカは今までとったことなかったので(障害児専用の歯医者さんでは、必要最低限のことしかやらないのです)、少し不安はあったものの、無事終了することができました。
歯石をとっている間、やはり不安だったのか、足が小刻みに震えていましたが、後でルカに聞いてみると 「少し痛い気がしたけど、大丈夫だった」とのこと。
歯石をとらしてくれれば、もう歯医者はクリアかも。ちなみに私は歯石を取る時が一番怖いです。
とった後のすっきり感は格別ですけどね。

無事歯医者を終了し、二人でてくてく歩いて家に帰りました。
「もう、大丈夫だね。障害児専用の歯医者さんは予約とってあったけどキャンセルして平気かな」と聞くと 「うん。大丈夫かな? 虫歯の治療してみないとなんとも言えないけど」とルカ。
「オレ、まずいとこなかった?」と、歯医者さんでの態度を気にしています。
「うん、平気だったよ。ただ、今回はお母さんが一緒だったからお母さんが挨拶したけど、今度からは自分で挨拶してね」と言っておきました。

ずーっと、心に引っかかっていたことがクリアされて、私もすっきりです。
「もう、普通の歯医者さんへは絶対行かない」と断言していたルカが、やっと普通の歯医者さんに行くことが出来ました。
我が家の記念すべき週末となりました。

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