・近況報告230

卒業2

前回はルカの卒業の話題でしたが、うちにはもう一人の卒業生ミミがおります。
先週、めでたく公立中学を卒業しました。
このHPはアスペのHPなので、ミミはいつもは脇役でルカのしっかりした妹という印象が皆さんのなかにもあったと思います。
でも、ミミも思春期のまっただ中、中学生という危うい時期でした。これは、障害の有無にかかわらず誰にでもやってくるものなのだということ、ミミに教えてもらった気がします。

ミミは、ルカが2歳半の頃、我が家にやってきました。待望の女の子。そして、まだ診断はついてなかったですが、ルカには何かあるのでは?と不安を抱いていた頃、ミミが生まれたことは、私たち家族、親戚、みんなの喜びでした。
2番目の子育てということで、私も慣れていたせいもありますが、とにかく育てやすかったのです。ルカを探してあちこち飛び回っていても、ベビーカーですやすやと眠っていてくれる子供でした。
きっと、私の大変さを知って、神様がプレゼントしてくれたのかなーと私は勝手にそう思っていました。
入園式や小学校の入学式も、ルカの時はいつもみんなに頭を下げて、肩身の狭い思いをしたものですが、ミミの時は、ご近所さんのお母様達と一緒にのんびり我が子の晴れ姿を祝える余裕がありました。大多数の中に紛れるということがこんなにも楽なことなのかと、やっと普通のお母さんの経験ができるなーと思っていました。

ミミはその私の思いに応えるように、順調に育ちました。小学校高学年、中学校と彼女がだんだん成長にして行くに連れ、学校の先生や友達の矛盾に悩んでいたことは知っていましたが、それは、誰でも通り過ぎる道であって、彼女の悩みを聞いてはいても軽く聞き流してしまっていました。

事が起きたとき、私の頭の片隅に「障害のあるお兄ちゃんがいるから、妹に対して愛情不足だったのではないか?」と、叩かれるなーという思いがありました。
しかし、それはルカに対してあまりにも失礼なのではないか? 彼は障害があるとは言っても家族を乱したりしてはいないし、私は私で兄弟児のことも障害のある子と同じように、またはそれ以上に注意が必要だということは知っていたし、そうしてきたつもりなのに。よその母親に比べても、ミミの学校の役員だって引き受けて学校にも結構行っていたし、毎日ミミとも話をしていたのに・・・どうして?という思いがありました。

それからミミとは随分とお話をして、ミミと私の気持ちのズレに気づきました。
私は、いつもよその障害のない子とミミを比べている。でも、ミミは生まれてから初めてであった子供は、お兄ちゃんなのです。障害があろうがなかろうが関係ない、ミミはずーっとお兄ちゃんを見てきて、次は私の番だなーと順番を待っていたのかもしれません。
一方私は、障害のあるお兄ちゃんには、これだけ手をかけるけど、ミミは一人でできるわ・・・と思っていました。

ミミが中学校に入学して初めて定期試験があった時、ミミは当然のように社会科の教科書をリビングに持ってきて「お母さん、勉強しようよ」と言ったのでした。
私は驚いて「えっ? ミミちゃん、自分の部屋に机があるでしょ。勉強は自分でやるもんなんだよ。」と言ってしまったのです。ミミはベソをかいて部屋にいってしまいました。
思えば、ルカが中学の時、社会科だけは普通級と一緒の試験を受けていたので、リビングの机でよく二人でテスト勉強をしたいたのでした。ミミは、その一部始終をみていたわけです。当然、中学に入ったら私も一緒に勉強するものだと思っていたのかもしれません。
ミミと私の気持ちのすれ違いを象徴している一コマを、苦い気持ちで思い出しています。
その事が直接の原因では決してないのですが、いろんな事が重なって、ミミはちょっぴり辛い中学生活を送ってしまいました。

卒業式の日、ミミは事情があって出席できませんでした。
翌日、私とミミとで校長室にて、卒業証書を貰いました。ただ、証書を貰うだけだと思っていたのに、3年の先生達が集まってきて校歌は歌うわ、校長先生の祝辞はあるわで、びっくり仰天でした!
びっくりしている私たち親子に担任の先生が「ごめんなー、いきなり校歌歌うんだもん、びっくりだよなー。僕なんて1番しか覚えてないのに、2番も歌い出すし・・・」と笑っていました。
この先生のおおらかさのおかげでミミも随分救われたようでした。他の中学では、卒業式に出席できなかったお子さんが来る度に、わざわざ校長室に紅白の垂れ幕まで付けてやる所もあるんだそうです。「今日はあと、二人くるから、あと2回あるな・・・」と先生。
こんなシステム知ってました?いやー、ミミのお陰で貴重な体験ができました。

今は、先生や友達の事、感謝の気持ちは持ちにくいのかも知れない。いろいろ考えたけど結論は出なくて、何も変わらなかったのも事実です。でも、貴方のために一所懸命考えてくれた人がたくさんいたことを、大きくなって思い出して欲しいなーと、願っています。 

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