卒業1
昨日、ルカは高等養護学校を卒業しました。
卒業式の少し前から、ルカは不安定になっていました。12年間に及ぶ学校生活にピリオドが打たれることに、やはり不安を感じるし、寂しさもあるでしょうし。
ふと、自分の18歳の頃を思い出してしまいました。
そうだなー、私もものすごーく不安な時期だったなー。私は、高校卒業の時から故郷をを離れて、自力で暮らすことになっていたので、そんなことも含めて毎日が息苦しかったのを覚えています。
卒業式は、厳かに行われ、出席番号の関係でルカは一番最初に卒業証書をもらいました。階段こけないでよーとか、返事の声が裏返らないでよーとか、そんな心配もよそに堂々ともらうことができました。
たくさんの拍手に包まれて、ルカ達は胸をはって退場し、あっけないくらい淡々と卒業式は終わりました。
でも、それがいいのかもしれないなー。もうお別れ会で十分別れを惜しんだし、やはり式は式で型どおりに終わってしまった方が、けじめがつくのではないかなと思いました。
退場の時は、先生達も含めて、三年間みんながんばったね! 卒業おめでとうと、言って上げたい気持ちになりました。
これから高等養護の生徒の7割以上が企業に就職します。その他の生徒達もそれぞれの道でがんばっていくことでしょう。
いろんな生徒の皆さんの進路を聞くと、私などは「あの子がここにいけて、この子がここ〜?」なんて、ついつい思ってしまうこともありました。
当事者であるルカ達も、いろいろ気にかかることだろうと思いきや、子供達の間では、どこに就職とかどんな職種だとかは、そんなに重要なことではなく、ただ気になるのは何曜日がお休みかということ。同じ曜日に休みだったら、また一緒に遊べるから、というのがその理由のようです。
これは、自分に関係のないところにはあまり興味を示さないタイプの子が多いからなのか? 面白いなーと思う半面、学ぶことも多いなーと思いました。
彼らは人と比べたり、人をうらやましがったり、ねたんだり・・・そんな気持ちが、私たちよりずっと薄いのです。どんな所につとめていようがそんなことは関係なく、対等な友達関係をいつまでも持っていて欲しいなーと思いました。
ルカはまだ、進路が決定していないという苦しい局面に立たされているので、「オレのどこがいけなかったんだろうと、思っちゃうんだよなー」と言うことがあります。
その度に私は「ルカが悪いわけじゃないんだよ。縁がなかっただけなんだよ」と答えています。
みんなより、ちょっぴり遅い春が、君にも来るように祈っています。
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