実習後半
ルカの職場実習も残すところ3日となりました。
今のところ遅刻、欠席もなく元気に通っています。
本人は仕事の内容も気に入って「オレ、ここだったらいいよ」と言ってくれました。
そうかー、よかったねと喜びたいところですが、こちらが良くても雇用する側がノーと言えばそれまでなので、まだまだ喜ぶわけにはいきません。今回気に入っているだけに、もしも断られたりしたら、後のフォローが大変だなーと心配の方が先に立ってしまいます。
連絡帳には相変わらず「もう少しスピードを上げましょう」という事が書かれています。
特にここ2.3日はどうやら出荷しなければいけない荷物が大量にあって、臨時のアルバイトを多数雇って忙しい様子。
その中で、やはりルカのペースが遅いのが目立つらしいです。
本人は、扱っているのがコンピューター機器なので、落とすと大変!という気持ちが先に立って早く出来ないと言っておりましたが・・・うーむ、あわてて落としちゃったりしても困ります。
そもそもルカは、腕力はあると思うのですが、その使い方に問題があるのです。
簡単に言えば要領が悪いということですね。
それは、荷物運びの時以外にも、単純な繰り返し作業の時にも言えるところです。
「スピードを上げろと言われても、どのくらいなのかわからない。すんごく早くやると後が持たなくて、長い時間出来なくなるんだよね。手が動かなくなってくる」とルカ。
「そういう時は、背伸びしたり、深呼吸してりしたりして、少し作業を中断して、気分を変えてからした方がいいんじゃない?」とアドバイスすると
「えー!! そんなことしたらさぼっているって怒られちゃうよ」とルカ。
多分、そんなにキビシイことは言われてないと思うのですが、本人はとにかく一生懸命やろうという気持ちばかりで、なかなか効率良くやろうというところまで、気が回らない様子です。なんだか、涙ぐましいですね。
きっと、それは本人の努力の部分とは関係なく、やはり「アスペの不器用さ」というところに関連してくるところなんだろうなと思います。
ほんとは「障害なんだから仕方ないじゃないですか」と言いたくなる。でも、それを言っちゃーおしまいなのか?
お互い雇用する側と雇用される側と、どこまで譲歩できるかのかけひきなのかもしれません。
まあ、考えようによっては、今の職場でのルカの課題は作業スピードだけであって、それ以外はOKということなんだと、深く思い詰めないことも一つの方法ですね。
でもねー、正直ルカが小さい頃、ルカがスピードにおいて指摘されるとは思ってなかったのです。
多動だったルカは、なんだかやることがとても早い気がしてました。
それに加え、自閉症の子は繰り返しが好きで、一つの作業を覚えると正確にかつスピーディーに行えるところが利点であると言うような説明を受けたこともあって、ルカもそんな風になるのかなーと思っていたら、全然違ってました!
もちろん、そういう自閉症の方もたくさんいらっしゃいますが、ルカは一つの作業をひたすらやるより、適当に変化があった方がいいと言います。だからと言って自閉症的な部分がなくて良いのか思えば、やはり接客業はイヤだいうことで、自閉症の苦手な部分もしっかり持っているわけです。
難儀なヤツだなー、なんて私があれこれ考えているのに、ルカはさほど悩んではいない様子です。
というか、毎日一生懸命やっている彼にとっては評価がどうであれ、充実して過ごせているようです。職場の人たちが優しくて居心地が良いというのも、気持ちよく働ける理由です。
そうそう、ホントはルカの学校・・・特に実習中は寄り道はいけないのですが・・・今回通っている電車のルートは、色々な路線が混じっていて、私などは混乱しているのですが、電車好きのルカにとっては興味津々。
わざわざ、乗ったことのない路線を遠回りして帰ってきたりするので、ルカには珍しく帰宅時間がバラバラです。
遅くなるときは事前に家に電話を入れてくれるので、心配はしてないのですが・・・許してください、先生!
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