・近況報告130

校則

3学期が始まって早々に、ルカは学校にオーバーを忘れてきてしまいしまた。
次の朝はこの冬1番を思わせる寒さでした。上着を着ないで学校に行かせるわけにもいかず、休日用の上着(フリース)を着ていくように言いました。
しかし、ルカは 「それは校則違反じゃないかな」と不安そうです。
上着の色は黒、防寒着に関しては学生らしいものであればなんでもよかったのでは?と思ったのですが、ルカは「でも、学校に来ていくものじゃないから・・」となおも言います。
だったらオーバー忘れてくるなよ〜と言いたいところですが、ぐっとこらえて、 「じゃあ、駅まで着ていって、電車の中は寒くないだろうから脱げば?」と言うと納得して着て行きました。
その日の下校後、オーバーはどこまで着ていったのか聞いて見ると、家から最寄り駅までで、あとは着なかったということでした。学校の最寄りの駅から学校までの20分間・・・とても寒かったそうです・・・

ルカは校則、ことに服装に関してのことについては、とても気にしています。
それは校則違反して先生に注意されるのが怖いというのがもっともな理由ですが、それだけではなく、服装に関して自信が持てないので、とりあえず校則に従って安心感を得たいのかもしれません。

そういえば、1学期の終わりもこの服装に関してもめたことがあります。
ルカの学校の制服は、冬はブレザーで中はYシャツにネクタイ、夏はポロシャツです。
入学時に渡された生徒用のしおりに、学校の決まりが書かれており、それには
「冬服の時はネクタイを忘れずに、夏服の時にはネクタイはしなくてもよいですが、学期の始業式と終業式には必ずつけましょう。」
という一文がありました。
どう思います? 文の通りにするとなると夏服の時の終業式はポロシャツにネクタイという奇妙な服装になります。
ルカも悩んでしまい、とりあえずポロシャツを来て、ネクタイはカバンの中に入れて登校ということになりました。
下校後、どうだったか聞いて見ると、やはり服装はいつもと同じでネクタイなんてしている子はいなく、先生も何も言わなかったとのこと。
「だったらあんなこと書かなければいいのにねー」とルカと話しました。
学校に連絡帳で聞いてみようかとも思ったのですが、そのしおりは入学時に渡されたもので、それ以降教材としては使われてないようで、よその家ではたぶん、その存在すら忘れられたものになっている可能性があります。
そのことを学期の終わりのあわただしい時に、いちいち親が指摘すると、重箱の隅をつつくようなことを・・・と気分を害されてるも困るので、思いとどまりました。
ルカには、自分で聞くように言ったのですが、ルカとしてはみんながネクタイをしてなく先生も何もいわなかったということで、ネクタイはいらないとわかったので聞かなかったと言うことでした。
案の定、後日私が同じ学校のお母さんにその話題をすると 「そんなのあったっけ? 考えもしなかったわー」と一笑に付されたのでありました。

そうなんだよね。
ルカは校則や、世の中の決まり事には忠実でありたいと思っているけど、現実には決まり事はあってないようなもの・・・という事例がなんと多いことか!

例えば、信号。
横断歩道は青が点滅したら「止まりなさい」と教えられます。
でも現実にはそんなこと守っている人は皆無に等しく、車が来ないと赤信号でも渡ってしまいます!
これ、許せない自閉症の人多いですよね。ルカも昔はそうでした。それでも、成長にともなってそんなものかと妥協してくれたように思います。
それから、駅の階段。
昇りと下りに別れて矢印がついている所多いですよね。
でも、その時によってまったく矢印と反対の状況のときもあるし、空いている時はそんなことみんな気にもとめないのです。
ルカはちいさい頃、それが納得できなくて、よく怒っていました。
それも、大きくなるにつれて気にも止めなくなりましたが・・・。
今彼が一番納得できないのは、ケータイ。電車の中ではあれほどだめだと車内放送がされているにもかかわらず、やめてくれないのを見るのは、ほんとに腹だたしいことのようです。

ルカは何も間違っていない。(まっ、都合よく決まり事を曲げていることも多々ありますが・・)
なのに少数派であるがゆえに受ける不利益。真面目なことをバカにする世の中の風潮。
きっと自閉症の人たちって、そんな矛盾をいつも抱えて生きているんだろうなーと思います。
ルカの主張は正直なところ耳たこ状態のこともあるけど、とりあえずは聞いてあげよう。
そして認めてあげよう。その上で実際の社会と折り合いをつけられる方法を一緒に考えてあげようと思いました。

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