友達
ルカには友達がいませんでした。
小学校の頃、交流級の子達と放課後一緒に遊んだことはありますが、だんだんつきあっていくうちに、親分・子分のような関係になってしまい、相手からの誘いを断るようになっていました。
もちろん、ルカは子分です。
小学校高学年あたりから、自分でもみんなに比べて友達ができないことを自覚し「友達なんて出来るはずはない」というようなことをよく言っていました。
同じ特殊学級の中に同級生がいないというのも、できない原因だったかもしれません。
いたとしても、なかなか障害の程度がさまざまで、友達関係を作るのは難しかったかもしれませんが。
私の考えでは、もしルカに友達と呼べるような子ができるとしたら、それはやはりルカと同じように軽度の発達障害のある子なんだろうなーと予想はしてました。
障害のない子とのつきあいは、過去の経験からやめた方がいいという思いもありました。
ルカが現在通っている高等養護学校は、ルカと同じような軽度の子たちがいっぱいです。
入学早々から、友達同士の交流が活発でしたが、ルカは我関せずの状態でした。
そんなルカが最近「H君は友達だ」と言うようになりました。
同じクラスのH君とは1学期の頃から学校から駅までの道を一緒に帰ったりしていました。
H君の方から誘ってくれたのは言うまでもないことです。
ルカは学校が終わったらさっさと1人で大好きな電車に揺られて帰りたいヤツなので。
「友達」という言葉は、ルカにとってはアレルギーになってしまっていたと思っていたのに、いつの間にか素直に「友達ができた」と言えるようになった・・・もしかして、高等養護に行ったら友達ができるかな?と淡い期待をしていた私もとてもうれしく思いました。
ルカの話によると「H君といると楽しい、そんなに変なことしない、冗談が通じる」というところがお気に入りのようです。
やはり、友達関係を作るには、まず対等な関係であること、共通の話題があること、「あいつはいいヤツだ」と思える何かがあるのが大切なんでしょうね。
軽度の障害がある子供どうしの付き合いは、一見普通に見えて実は人との付き合い方が下手な子達の集団でもあります。
別に意図的にいじめているわけでなくても、相手が嫌がっているのに気づかなかったり、逆に相手にイヤだという態度が示めせなかったり、「こうしなければならない!」という思いこみを相手に強要してしまったり・・・・・いろいろなトラブルのもとを抱えています。
そんなトラブルを抱えながらも、人と人の関わり合いを勉強できる・・・同じような子供たちが集まっているということは、学習や作業能力の向上だけではなくて、実はこんな大きなメリットもあるんだなーと感じます。
そしてうまく行かないとき、交通整理をしてあげるのが先生や親の立場なのだと思います。
ところで、先日担任から仲良しのH君と休日電車で出かけてみては?と勧められたルカ。
ルカの答えはノー。
友達だという認識があっても、それは学校の友達であって、それ以外の付き合いは考えてない様子。しかも、電車の旅は1人ですることを原則としているもので・・・
も、もしかしてクラスが変わると友達関係も解消なんていいださないよね?
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