大人になるということ
当然のことですが、ルカの近所にもルカと同じような障害の子供達がすんでいます。
軽度ということで、普通級に在籍していることがほとんどです。
ある時、ルカパパと私はルカよりちょっと先輩の障害のある子の話をしていました。
「○○くんもね、障害者手帳もらったんだって、よかったよね」と。
するとそれを聞いていたルカが
「えっ? ○○くんって障害があったの? だって普通級だったじゃない!」
と
驚いて話しました。
「普通級にも軽度の障害のある子ならいっぱいいるよ」と私が言うと、
「そんなことは信じられない。(普通級に交流に行っても)俺以外はみーんな友達がいて楽しそうだったもの」
・・・このルカの言葉は私としてはちょっと痛い言葉です。
まだ自分の障害を知らずに無邪気だった小学校の頃のルカだったら、こうは思わなかったでしょう。
中学に入って皆と自分の違いに気づいたルカにとって、交流級に行くことはある意味大きなハードルでした。
障害を告知して、ルカを萎縮させてしまったのだろうか?
ついそんなことが頭に浮かびます。
でも・・それは多分違う。告知してもしなくても、ルカはいずれ皆との違いに気づいたろうし、友達ができない状況は同じだったと思うし。
自分が何者かわかったルカだから、中学時代を落ち着いて過ごせたと思うし・・・
それにしてもちいさい頃のルカはホントにお気楽だった。
いろんなわからないことを抱えていても、いつも元気で、先生や私から「がんばろう!」と言われると、俄然はりきる子でした。
ところが今は「がんばってね」なんて言うと、「プレッシャーになるからやめて」と言います。
先日も、学校で生徒会の役員に立候補してみないかと担任から勧められたルカ。
「そういうのはやらない」ときっぱりお断り。
「ルカだったらできると思うけどな。小学校の頃、飼育委員長の仕事ちゃんとやれたじゃない」と私が言うと、
「あれはね・・・みんながふざけて俺を選んだだけなんだよ」とルカ。
・・・そう、それは私も知っていました。
あの頃は、友達が自分を都合のいいように利用していることに気がつかなかったルカも、今振り返ってみると、わかってしまうことがあるようです。
自分のことがわかるにつれて、ルカは少しずつ消極的になっているのだろうか。
すべてにおいて、そうではないだろうけど。
でも、それはルカだけではなく、みんなそうかもしれない。
昔、幼かった自分がヤケに愚かに見えてくる。
ルカはそんな大人の入り口に今、立っているのかな?
前に戻る