家庭訪問
今週は家庭訪問ウィーク。
我が家にも養護学校の担任が一人でいらっしゃいました。
実は私、ルカの学校は家庭訪問はないと思っていたのです。
ルカの学校の生徒は市内の全域から通ってきており、かなり広範囲なのです。それをまわるとなるとかなり大変、高校生なんだし・・・ないよね、と思っていた私は少しショックでした(笑)。
さすがに担任二人では時間が足りないらしく、女子と男子でそれぞれ手分けしたようすです。
家庭訪問当日、ルカが最寄りの駅まで先生をお迎えに行きました。
ルカはこれがまた憂鬱そうでした。まだ慣れていない人と一緒に歩くのは、緊張してしまうらしいのです。
案の定、ルカが家まで案内するはずなのに、「先生がそっちの方を行ったから・・」ということで、ふだん通らない道を遠回りしてきた模様。「先生、こっちです」とリードすることができなかったようです。
さて、我が家に到着し、後は私と先生だけでルカはお役ご免、と思いきや、まず、ルカ君とお話しようか」と先生。
今年度から障害児に対して「個別指導計画」というものを作成することを、学校では義務づけられており、その作成のため、親や本人からも意見を聞きたいとのことでした。
初めての試みで、先生もとまどいを隠せない様子です。
この計画書を作成することによって、ルカが進級して担任が変わったときも、この書類に基づいて一環した教育を行おうというのもねらいの一つだそうです。
「そうですよねー。今まで先生が変わるたびにまた1から、子供のことを説明しなくてはいけなくて、学校ってひきつぎ業務というものがないのかしらって、今まで疑問でしたよねー」などと内心思いながら、「まあ、先生もいろいろと大変ですねー」などとあたりさわりのない返事をする私でありました。
計画書の内容は、健康面、勉強面、生活面、その他社会性とかコミュニケーションとか、いろいろ項目に分かれていて、ルカと私と先生の意見を合わせて作成し、後日先生が作ったものをまた私たちにも見てもらって承認を得る、というような手順だそうです。
そんなこんなをいろいろお話し、それから部活のこととか、友達関係のこととかいろいろきっちりお話したので、30分の予定が1時間になってしまいました。
ルカの担任は、私よりちょっと・・・だいぶ?若い男の先生です。
ずっと養護の先生だったのですが、高等部にいたことが多いのか、きびきびした感じの好青年(そんなに若くないがオバサンの私としては・・)という感じです。
生徒指導の先生でもあり陸上部の顧問。一見体育系のこわもてかと勘違いしそうですが、割とルカにソフトに接してくれるので、ルカはとてもお気に入りです。
私も、ルカにあっていそうな先生でひと安心でした。
「予定の時間を過ぎてしまいまして・・・」と先生はかなり恐縮してお帰りになりました。
いえいえ、そんなことないです。「今後の指導方針について」なんて内容の濃い家庭訪問をしていただいて・・・さすが高等養護学校です。
ルカの小学校の時のある先生などは、かなり長い時間いらして「ミミの幼稚園のバスが来ますので・・」と言うと「留守番してますから」と居直られ、台所まで見学に来られ「いいガステーブルですねえ〜。中華料理をつくるとおいしいでしょうね」などとおっしゃっられた先生とは大違いです・・・あっ!失礼しまた。
さて過去の愚痴はこれくらいにしてまじめな話。
ルカと私といろいろ今後の希望を出して「コミュニケーションが苦手」というのが、共通の思いでした。
しかし、これがどうも周囲にわかりづらいらしいのです。
一応先生の言っていることは理解できる。挨拶もできる。朝の3分間スピーチでも要領よく話をまとめ、上手に発表できて、先生としてはそんなに・・・という思いがあるのでしょう。
確かに、ルカは決められたことをみんなの前で発表したりするのが得意なのです。
周りにはもっとコミュニケーションが苦手な子がいるわけです。
でも日常の生活ではどうかというと、人とうまく話せない・・・何気ない会話ができない・・というのがルカの悩みなのではないかなと思います。
なかなかわかりづらいですね。
それと私がとても心配しているのは、精神面の弱さです。
人からちょっときついことを言われるととても落ち込んでしまいます。
最近も国・社担当の先生にちょっとしたことで否定的なことを言われ、家に戻ってから「もう少しで自傷行為を起こしそうになった」と話しておりました。(その場でルカがそんなに追いつめられていることを気づく人もいないでしょうが)
家に帰って私に話すことでかろうじて落ち着いていることって、結構多いようです。
「精神面でもう少し強くならないと、一般就労は無理かなとも思います」と私が担任に言うと
「そういう意味でも、友人との関わり合いが大切になってくると思います。ルカくんに友達を作りなさいと強制するわけでは決してありませんが、友達とのやりとりで伸びて行くことが多いんです」と先生。
その通りです。
ルカは大人と話すのがとても好きです。なぜなら、大人は対等なふりをして、実はルカと対等には話してないわけです。
だからきつい言葉も聞かなくてすむわけです。
いわば温室の中で育ってきたルカです。
でも・・・だらかこそルカは、真っ直ぐ育ってこれたんではないだろうか・・・。自分の障害を理解してもらえる人に囲まれていたからこそ、明るく育ってくれたんではないだろうか。
精神面のもろさは、ルカの障害と切っても切り離せないところにあると思います。
でも、全部を障害のせいにしてはいけない・・・
障害のない子供達だって、みんな悩んだり傷ついて大きくなっていくのだから。
ルカにはどの程度がんばらせればいいのだろうか。向こう3年間、私の中でこの問いが続きそうです。
前に戻る