・近況報告 その86


回想録

今日のお話は"事件簿"でお知らせしようかと思ったのですが、話が長くなるのでこちらで紹介します。

家族で車に乗っていたときのこと。ルカのちいさい頃の話になりました。
今は動物をかわいがることはしても、いじめたりということは絶対しないルカですが、その昔、幼児期の頃は、動物の動きが単におもしろいという理由で、動物園の小動物コーナーにいくと、うさぎを捕まえては、放り投げるということをやったことがあります。(うさぎさん、ほんとにごめんなさい!!)
「小学校に入ってからは、もうそんなことはしないよね」と私がルカに聞くと、
「うーん、最近思い出したんだけど、小学校2年の時・・・」とルカが話し出しました。
おいおい、また私の知らない事実が暴露されるのか・・・と苦笑いしながら聞いてました。
話によると、小学校ではにわとりを飼っていて、いつもにわとりをさわりに行くのが、ルカの日課だったそうです。
ある日、鶏小屋に行ってみると、小屋に鍵がかかっていてさわれなかったそうです。
どうしてもさわりたいルカは、にわとりに水をかけたら、さわったのと同じ気分になれるかなあ(ここら辺の発想が不思議ですね)と思い、近くに水道があったので、ホースで水をにわとりにぶっかけたそうな・・・・やれやれ、なんということを!!
それを周りの子が見ていて先生に報告され、当時の交流級の先生に怒られたそうです。
「どんなふうに怒られたの?」と聞くと、
「手の甲を"これは悪い手だ"と言って、何回かたたかれた。いまどき、あんな古くさいしつけする人いないよね」とルカ。
「それでルカはそのとき、悪いことしたなあって思ったの?」と私が聞くと
「にわとりがかわいそうとか、悪いことだという気持ちはなかった。ただ、たたかれたから、ヤバイなと思ったよ」とのこと。
そうかもしれない。あのころのルカはまだ、動物の立場になって考えることなんてできなかったんだから、そう考えるのが精一杯かもしれません。
あのころの段階では、行動上の問題として、いいこと・悪いことというふうに、教えていくしかないんですよね。
残念ながら、その段階でとどまる子もいるし、ルカのように大きくなるにつれて「かわいそう」という気持ちが芽生える事もあります。
そして過去を振りかえり「あの頃は俺も馬鹿なことをしたもんだ」と初めて反省できるのではないでしょうか。
気をつけなければいけないのは、周囲からは動物を虐待しているように見える行為であっても、そんな作為的なものではなくて、ただ単に動物の動きがおもしろいとか、そういう単純な発想からだと思うのです。子どもの発達にあわせて、考えてあげたいものです。

それまでずっとルカの話を聞いていたミミが、口をはさみました。
「先生が言ってたんだけど、他人が飼っている動物にけがをさせたりすると、器物破損罪になるらしいよ。動物ってモノと同じ扱いなんだね」
それを聞いてルカはびっくり。
「モノと動物を同じ扱いにするんなんてひどいな。全然ちがうじゃん」と。
それを聞いて、私はあることを思い出しました。
ルカがやはり幼児期の頃、寝る前に家中の家具に向かって「おやすみなさい」を言っていたことを。
台所のガステーブルに向かって「ガステーブルさん、おやすみなさい」と言っていたのです。
この子には、モノと人間の区別がないんだなあと、思ったものです。

ルカはちいさい頃の思い出を、今回のように時々話してくれます。あのころはお話も満足にできず、誰にも伝えることができなかった気持ちを、見事に再現してくれています。

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