・近況報告 その58


変化

夕食時(ミミがいなくて寂しい二人だけの夕食が続いているのですが)ルカがこんなことを言いました。
「いろいろ考えたんだけど、今までの俺の考えを改めることが二つできた」
それは、何かというと・・・。
一つは、例の地下鉄の件。
地下鉄という名前なのに、時々地上を走ってしまう地下鉄を、彼は許せないと常々いっていたのですが、
「よく考えたら、いいかなあと思って。景色が見えた方が気持ちいいし、それに逆に地下鉄じゃなくても地下にもぐる電車もあることだし。」
というのが理由のようでした。
あんなに気にしていたのに、気が変わることってあるんだなあと、ちょっと驚きの私。

そしてもう一つは、地下鉄ほどじゃないにしろ、この頃やけに気にしていた"ヤンママ"の話。
近頃、ほとんど毎日のように報道されている幼児虐待のニュース。
彼は、このニュースに心を痛めている一人ですが、彼なりにどうしてこんな事が起こるのか考えた結果、親が若すぎるからという結論に・・・。
具体的には、30才未満はまだ若すぎるので子供は生まない方がいいという結論に達したのです。
ルカがどう思おうとルカの勝手ですが、困るのは自分の考えを人に強要することです。
ちなみに私は、ルカもミミも20代に生んだわけです。
ルカはそれが気に入らないらしく、「なんで、そんな早く生んだの?」と、時々私に抗議をしてました。
私は、そのたびに適当に受け答えしていたわけですが、その中にルカが納得する答えがあったようなのです。
「やっぱりさー、子供を生んだり育てたりするのって体力がいるんだよね。元気なうちに生む方がいいよね」と言って、30才にならなくても子供を生んでもいいということに、考えを改めたということでした。
それでも「10代はやっぱりだめだよねー」というので
私も「うん、ちょっと早すぎるかなと」と同意してあげました。

自分がいったんこう思うと、なかなか考えを改められないルカですが、それでもある一定の時期が過ぎると、自分と違う考えでも受け入れることができるようになることがあります。
しかし、また新たなる疑問が浮かびあがることが常ですが・・・

また、先日はこんなことがありました。
特学で使っていた中1の時の連絡帳を持ち出してきて、
「俺って、なんでこんなバカなこと書いたんだろう」と後悔しきり。
そこには、生徒会総会の準備を皆でやることになっていたのに、ルカが「自分に関係のないことはやらない」といって、手伝うことを拒否したという担任の先生の報告が書いてありました。
「ルカクンには、彼の考えが間違いであることを話しました」と担任が書いてあるところの下に、ルカの字で
「僕は間違ってません。間違っているのはあなたです」と書いてありました・・・
あのころのルカは自分のことは自分でやろうという気持ちが強く、"協力"するということにひどく抵抗を感じていた時期でした。
彼なりの考えがあってのことだったので、私からはあまり強く言わないようにしていたのですが、現在は"協力する"ということにも抵抗感はなく、わずか二年前のわがままな(一般的に言えば)行動に驚いた様子でした。
そして「先生に失礼なコトしちゃったなあ」といい、謝りにいきたいと言ったのですが、もうその先生は転任されてしまったので、それは思いとどまらせました。

あの頃は、かたくなに自分の考えを押し通そうとするルカをどうしたものか・・・と、悩むことが多かったのですが、ルカが納得できなければこちらがいくら言っても仕方のないことなので、一応、どうして協力ということが必要なのか説明はしましたが、ルカに強要することはありませんでした。
いつかわかってくれる時がくるといいなあと思っていたのですが、子供って成長するものですね。
そのわかり方は、人とちょっと違うわかり方かもしれないけれど、教えてあげるとわかることって、案外多いかもしれません。

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