・近況報告 その43


しつけ

ルカは月に二回程度Aクラブという障害児向けのサークルに参加しています。
先日もそのサークルに参加した夜、どんなことをしたか聞いてみました。
その日は公園で自由に遊ぶだけだったようですが、
「これをいうと、多分お母さんは怒るな・・・」といいつつ、渋々報告してくれました。
それによると、ちょっと乱暴なことをする子がいて、唾を吐くので、ルカも仕返しに唾を相手に向かって吐いたとのこと。
また、そんなアホなことをやっているんだーと思いつつ、
「もう、そんなばかばかしいことやめたら?」というと、
相手が先にやったことであるし、自分が仕返しされれば、どんないやな気持ちがするのか、相手もわかってやめるから、俺は「しつけ」のためにやったんだと、主張しました。

ん?それってルカが考えたことではないなと思った私は、
「誰かがそういうしつけしていることを見たことあるの?」と聞くと、案の定、小学校くらいに先生がしつけをしているのを見たということでした。
例えば、友達をたたくことが習慣化している子がいたとして、その子の行為をやめさせるために、その子のことをたたいて
「ほらっ、あなたも痛いでしょ。お友達もいたいんだから、やめてね」みたいな「しつけ」を、彼はしっかり頭にインプットしていたわけです。
まあ・・・ルカの場合、実際の所は「しつけ」というのは口実で、自分も唾を吐いてふざけてみたかっただけかもしれませんが、ともかくそういうことをルカが学習していまっていることが、ちょっと驚きでした。
子供をしつけるというと、どうしても悪いことをすると自分もこんな痛い目にあうよ、みたいな戒め的なものが多くて、障害のない子にはそれなりの効果があるのかもしれませんが、自閉症の子にやられた相手の気持ちをわかりなさいという指導はどうなんだろうか・・・。
何よりもそのしつけの光景を見て、周りの子供までが、悪い行為をまねしてしまうという危険があるんだなあと思いました。

「で、その子はルカのしつけで唾を吐くのやめたの?」と聞いてみると
「それがね、ますます唾を吐きかえしてきて、しつけは全然効き目がなかったよ」
とのことでした。
ルカにはそのようなしつけは効果がないということを言って、話を終わりにしました。
果たして、それでルカが納得してくれたのかは定かではありません・・・。

話は全く変わりますが、4月は毎年恒例の家庭訪問がありました。
ルカには、自分がアスペルガー症候群であることを学校には言うなと、口止めされていたのですが、家庭訪問の時に
「担任の先生には話してもいいかな?」とお伺いをたてると
「うん、担任だからいいっか」と快くOKしてくれました。
ルカに障害を告知した当初は、自分の障害のことを誰にも知られたくないと、かたくななルカでしたが、このごろとても許容範囲が広くなってきたことを感じています。
やはり障害の"受容"には、時間が必要ということでしょうか・・・。

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