・近況報告 その42


超能力

人の行動をずーっと観察していると、大体次はこんなことをするのではと、ある程度予測できるものですが、特にルカの場合、大体行動がパターン化されているので、とてもわかりやすく、ルカが話す前から何を言うのかわかってしまうことがあります。
私たちがごく当然に使っているこの能力。ある人にとっては「超」という接頭語がついてしまうようです。

ココアが大好きなルカは、いつもココアの粉をたくさん入れて、砂糖もたくさん入れて、一日に2回ぐらい飲んでいました。
ルカの妹は「まるでお汁粉だ」とあきれているのですが、ある日ルカが
「ココアってチョコと同じ原料なのかな」と、心配そうに聞いてきました。
「似てるとは思うけど・・・」と答えると、
「なんか鼻血が出そうな気がする」と言いだし、飲み過ぎると体に悪いのではと、心配になりはじめた様子でした。
私は、まためんどくさいことになったなあーと思っていると、案の定それからは「鼻血が出そうな気がする・・・」と、ティッシュを持ち歩くことが多くなりました。
その日の夜、ルカがまたティッシュを手に私の所へ来て、
「お母さん・・・」と何か言おうとするので、
私は先回りして
「鼻血なんて出ないから、大丈夫だよ」と答えてしまいました。
するとルカはびっくり仰天。
「お・お母さん、なんで僕の考えていることがわかるの? 超能力があるんだね」
と言うのです。
そんなこと、超能力者じゃなくても、今日一日さんざん鼻血を気にしていたルカを見ていれば、だれでも予想できる話なのですが、ルカにはそんな私の気持ちを知るよしもなかったようです。
「ルカは、超能力持ってないの?」
と、私がおもしろ半分に聞くと、
「どうせ俺はバカだから・・・」と言って、さっさと部屋にひっこんでしまいました。
まず〜い。余計なことを言ってしまった・・・と、後悔する私でした。

それから数日後、ある人からの電話を待っているとき、
「何時頃かかってくるんだろう」とルカ。
「そんなのわかんないよ」と私が答えると、
「あれっ、お母さん超能力があるのにわかんないんだ」とルカ。
「そんな、よその人のことまでわかんないよ」と私がいうと
「ふーん、お母さんは超能力中級者なんだ」と、納得した様子でした。

ちなみにあの日を境に、ココアは飲まなくなりました。

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