「俺」
自閉症の人の中では、自分と他人と区別がつきにくく、一人称(わたし・ぼく)が使えないという話があります。
例えば、小さい子はよく自分のことを「〜ちゃんはねえ・・・」などといいますが、それがなかなか治らないということなのだろうと思います。
ルカの場合、それはありませんでしでしたが、自分と相手の立場の違いがわからなかったという例では、「バイバイ」と相手に手を振るとき、手のひらを自分に向けて手を振っていました。
まだ、我が子が自閉症とわからなかった頃で、変な振り方だなあと思ったものです。
それはさておき、ルカが自分のことをなんと呼んでいるかというと、小さい頃からずーっと「僕」でした。
しかし、このごろちょっとした異変が起こりました。
「ねえ、僕っていう言い方は、なんかガキっぽいよね。これからは俺ということにする」
と、宣言したのです。
私は、ルカのきちんとした?言葉づかいが結構気に入っているので、そのまま「僕」と言って欲しいと思い、
「でも、学校の先生や目上の人に俺っていうのは、ちょっと失礼かも・・・」と反論してみました。
すると、
「じゃあ、学校では僕、家では俺と言うことにする」という答えでした。
そんな使いわけができるのか・・・と内心思ったのですが、それから家では
「僕・・・いやあ俺は・・・」と、始めのうちこそ言い直していましたが、2、3日で「俺」が定着したようです。
学校ではどうか、よくわからないのですが、とくに先生からは何も言われてないので、多分「僕」で通しているのだと思います。
なんか、「俺はさ〜、」といわれると、まだまだ聞いている方が違和感を持ってしまいますが、これも大人へのあこがれの現れと思って、周りが慣れるしかないですね。
だんだん、「お母さん」という呼び方も、「おふくろ」なんて呼ばれたらやだなあといらぬ心配をしてしまう私です。
自閉症の人は、敬語で話せといわれると、家族にも敬語で話すとか、使いわけができないと言われがちですが、ルカのように使いわけできる人もいるようです。
特に、教えた訳ではありませんが、学校の先生が、先輩や教師には敬語を使いなさいと教えてくだっさったので、それから敬語を使うようになりました。
だからといって、家でも敬語を使うようなことは、ルカに関してはありませんでした。
いろいろな自閉症の人がいるものです。
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