・近況報告 その35


迷信

最近ルカは、迷信という言葉を覚えて、過去に迷信とはわからずに、ひどくおびえていた事実をはなしてくれるようになりました。

ほとんどが小学校の先生に言われたことのようです・・・
例えば、ルカの偏食を治したいがために、「にんじん食べると頭がよくなるよ」とか、まあそれぐらいはルカを思えばこその言葉だと、信じたいのですが・・・。
それでも、自閉症の子にそんな言葉が通用するのか、かなり疑問です。
ルカは多分、そんな言葉はわからないまでも、食べないといけないという雰囲気を感じて、食べていたのだと思いますが。
もっと首をかしげたくなるのは、「きちんとすわっていないと、足が腐る」とか「畑仕事をまじめにやらないと、病気になる」とか
私は知らなかったのですが、ルカが
「やっぱりあれは迷信だったんだ。僕は心配しちゃったよ」と、この頃になって告白してくれました。

私がルカを育てている上で、肝に銘じていること・・・それは、脅し文句を使わないことです。
ルカが小さいとき、リハセンターの先生から「脅し文句を使っても本当にそのとおりにならなければ効果がありません。いたずらに子供を混乱させるだけです」といわれていました。
なるほど・・・そのとおり!!と私は思って、〜すると〜ができなくなるよ、〜につれていかれるよ等の脅しは極力やめるようにしました。
それはきっと、正論だと思うのですが、現実には世のお母さんたちや幼稚園や学校の先生は、至るところで脅し文句を切り札にしていて、それなりの効き目があるようにも思えます。
実際に、言語理解が余りよくない子供でさえ、母親が「そんなことすると今度の遠足につれてってもらえないよ」などというと、好ましくない行動が一時的におさまるように見えることがあるようです。
それを聞いていて、申し訳ないのですが、ほんとに遠足に行きたくて言うことを聞いているのかなあとか、遠足が終わったら、なんと言ってしつけるんだろうと、不思議に思うのは私だけでしょうか?
それってやっぱり芸がないなあと、思ってしまいます。

ルカに関して言えば、上述の迷信を信じることによって、行動が改善されたとは思いにくいし、「〜したら遠足にいけない」などと言おうものなら、
「どうせ僕は遠足にいけない、もうだめだ」
などと口走って、収拾がつかなくなったことが何度かあり、いたずらにルカの気持ちを混乱させるだけでした。
やはり長い目で見ると、脅しは厳禁なのではないでしょうか。
どうせ言うんだったら、こんないいことをすると、こーんなすてきなご褒美がもらえるんだよーと、教えたほうが気分がいいのでは?
よく言われることですが、罰を与えるより、どうしたらいいのか適切な行動を教えてあげること、回り道のように見えても、実は近道だったりするようです。
これって基本中の基本かも・・・。

それにしてもルカの回想録にはドキリとさせられます。
私が過去にルカに対してしていた悪事?を次々とばらされるような気がして・・・
皆さんも気をつけて下さいね。

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