適量
ことわざにも少々興味のあるルカですが、今、彼に覚えて欲しいと思っているのは「過ぎたるは及ばざるが如し」という、ことわざでしょうか。
自閉症の人は、曖昧な概念がわからないと、よく言われてるようですが、ルカもまさにその通り。
まあ、自閉症の中では、少しはわかる部類である、という言い方も出来るかも知れません。
数字に置きかえて説明すれば・・・数字に置きかえないと説明できないこと自体が、問題なのですが・・・
100が最高だとすると、彼の頭の中には、しばらくの間、0と100しかありませんでした。
この頃やっと、50が出てきて、会話の中に「普通」という、言葉が出てきた感じです。
でも、それって、ホントの意味で普通なのかというと、例えば、「今日、学校で○○の授業は、どうだった?」と、私が聞くと、大抵、「普通」と、答えます。
どうやら、話すのが難しかったり、面倒だったりすると、「普通」という言葉に逃げているようにも受け取れます。
50のホントの意味といいますか、何が平均的なのかという問題は、彼にとって永遠のテーマなのかも知れません。
先日、彼のこの欠点が暴露されてしまった? 出来事が起こりました。
夕食時、彼はご飯にふりかけや、昆布の佃煮などをかけて食べるのが好きなのですが、適量ということが、どうもわからないのです。
ふりかけは、今は一回分ずつ、小分けで売っているものがあるので、私はそれを買うようにしています。
そうしないと、ご飯の白い部分が全く見えなくなるほど、大量にふりかけをかけてしまうからです。
でも、私たちは、ルカと一緒に暮らしていて、彼が障害児であると言うことを、いつも意識しているわけではありません。
つい、普通の子と同じ対応をして、しまった!!と、思うことがあります。
先日の夕食では、彼は昆布の佃煮が食べたかったらしく、いそいそと冷蔵庫から、昆布をパックごとだし、なんと、ほとんど1パック全部、ご飯にかけてしまいました。
それを見ていた、私と主人は、思わずユニゾンで、「なんで、そんなにかけるの!!」と、注意してしまいました。
すると、ルカは、びっくり。全部昆布をパックの中に戻し、食事をやめてしまいました。
しまった!! きつく言い過ぎた、と思った私は、
「別に、食べちゃいけないって言ってるわけではないの。スプーンで1杯とか決めて、かけたら?」
と、フォローしたのですが、もう遅い・・・・
気分を害したルカは、しばらくご飯にハシをつけず、私がなんとか取りなして、白いご飯だけは、食べてくれました。
前回でも、書きましたが、私とは、その後は尾を引かず、普通に話したのですが、お父さんとは、その夜、ずーっと口をきかない状態でした・・・
適量って、とっても難しいんですね。
彼にとって、難しいことがわかっているので、さっきのように、スプーンで1杯、というように、アドバイスしてみるのですが、失敗してしまった後にそれを言うと、とても傷ついてしまうようです。
「やり直し」をするということも、自閉症の人は苦手なようで、やはり、失敗する前に、アドバイスするのが、基本でしょう。
でも、日常生活の中で、常に、そうやって意識するのって、ホントにホネがおれます。
特に、ルカのように普段は、あまり自閉症であることを、意識せずに過ごしていると、思わぬ落とし穴があるんですよね〜。
そうそう、これとはちょっと、違うのですが、食べ物の話をもう一つ。
落花生ってありますよね。
ウチでは、ほとんど食べないのですが、この間、祖父母からいただいて、ずーっとしまったままだったのですが、ある日ふと思い出して、食べようということになりました。
それを見ていたルカが
「それって、おいしくないよね。とっても苦いよね」
というのです。
どうやら、ひとりで、食べたことがあるらしい・・・それも、殻のまま・・・
ルカにとっては、初めての食べ物だったらしく、食べ方がわからなかったようです。
それにしても・・・殻をむいてたべるという想像力は、彼にはなかったのか・・・
ピーナッツは好きなルカなのに、残念でした!!
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