スキー
ルカは、小学校3年の頃から、Aクラブという、知的障害児のためのサークルに入っています。
そこでは、大学生の人たちがボランティアで、月2回程度、いろいろな場所で、ルカたちと遊んでくれます。
その活動の一環として、毎年、冬休みは、3泊4日のスキーへ連れていってくれます。
小学校3年の時に、初めてスキーに参加したルカ。
その頃は、まだまだ多動でした。
部屋中を駆け回るし、スキー板をはいたまま、どこかへ行こうとするしで、かなり、大変だったそうです。
しかし、時の流れとは不思議なもので、今では、クラブの中でも、かなりお兄さんになり、ボランティアの人たちも、その成長ぶりを喜んでくれています。
スキーの技術も、なかなか伸び悩んでいたのですが、中学1年の頃から、やっと滑ることの楽しさを覚え、みんなの先頭をきって、だいぶ急な斜面も、スムーズに降りてきているそうです。
今年も、冬休みに入ってすぐ、新潟へのスキーキャンプに参加し、昨日戻って参りました。
「新幹線みたいに、スピードが出て、気持ちよかったー」
と、家に戻ったルカは、本当に楽しそうに、話しておりました。
私としては、スキーの技術もさることながら、部屋での様子や、友達との様子など知りたいところです。
クラブに通い始めた頃は、大学生のお兄さんの話などはするのですが、同じ年頃の友達の話は全然でした。
というか、名前すら、頭の中に入らない様子でした。
そして、この頃やっと、友達の話をしてくれるようになりました。
友達と言っても、障害の種類も程度も、バラバラな仲間達です。
なかなか、交流を深める、というところまでは行かないようですが、それでも、それぞれの子供達の特徴に、やっと目をむけられるよになったのか、
「〜クンは、いつもうるさい」とか、「〜クンは、あまりしゃべらない」とか、「おとなしくて、いい子だよ」とか、私たちに報告してくれるようになりました。
今年はなんと、一緒の部屋だった子と2人で、夜の集いの時に、芸を披露したとか・・・
ここまでくるのに、なんと長い年月を要したことか・・・
Aクラブに入ったときは、自分の意志でと言うよりは、何がなんだか訳がわからず、私の言われるまま、入ったような感じでした。
正直な所、このクラブは、ほんとに遊び中心ですし、いろいろな障害のある子が混ざっているので、ルカが嫌だと言ったら、すぐやめるつもりでした。
ところが、ルカはクラブが気に入った様子で、今日に至っています。
この頃のルカは、新しいところがとても苦手で、自分の意志を貫こうとするので、なかなか私の思ったようには動いてくれません。
例えば、なにか新しいサークルに入れようと思っても、ルカが一度「嫌だ」といったら、
それでおしまいです。
ですから、このAクラブは、ルカにとって、とても貴重な存在です。
「もっと、大きくなったら、大学生のお兄さん達と一緒に、ルカもリーダー的存在になれるといいね」
私と主人は、心秘かに、そう願っています。
前に戻る