・近況報告 その22


自傷行為

自閉症の人の問題行動の中で、周囲の目をひいてしまうものの一つとして、自傷行為があげられると思います。
ルカも小さい頃は、混乱してしまうと、所かまわず床や壁に頭をガンガン打ち付けるし、コンクリートの上でも、大きくジャンプしてそのまま倒れ込んだり、かなり周囲は心配したようです。
私は?というと、なにしろ小さい頃からそうだったわけで、不思議とけがをしない子だったので、そんなにあわてたりもしなかったような・・・・・
昔から、物に動じない性格だと言われているせいもあると思いますが。
リハセンターに通い初めの頃は、そういう行動を見慣れてるはずのセンターの先生もびっくりしたことがあるので、きっとすさまじかったのでしょう。

それでも、少しずつなくなってきて、小学校3年生頃にはすっかり陰を潜めていました。
ところが、小学校5.6年頃から、自分の行動を他人から批判されたりすると、ひどく動揺して、自分で自分の首を絞めたりということが、始まってしまいました。
でも、苦しくなると、力を緩めたりというように、大きな事故にいたる前に、手加減も出来るようなので、あまり、深刻には考えないようにしました。
しかし、それを見ている家族の方がどきどきしてしまうので、自傷行動も含めて、家族に迷惑のかかる行為が始まったときは、極力自分の部屋で行うように、指示してきました。

この間も、私がうっかり、彼の神経を逆なでしてしまったために、彼を混乱させてしまいました。
同じ特殊級の子が、ルカに向かって、唾を吐くまねをするので、ルカも仕返しに唾を吐くまねをしたというので、私はつい
「レベルひくーい!! 中学生がそんなことするなんて・・・」と、言ってしまったのです。
彼にとっては「レベル低い」というのは、禁句だったようで・・・・・
彼は、唾を吐くことを犯罪のようにいけないことだと思っていて、そのまねをしたことですら、罪悪感を感じていたのでしょう。
それでも、私にそんなきつい一言をいわれると予想していなかったのでしょう。
「お母さんひどいよ」とか、なんとか言って、一人で部屋に行きました。
ちょっと、言い過ぎたなあと、私も少し反省・・・・・
まあ、一晩寝れば大丈夫だろうと思っていました。
案の定、次の日は、ケロリとしていたのですが、しばらくたって
「お母さん一つ心配なことがある」
と、私に相談にきました。
「お母さんに言われて、怒ったときに、部屋で、自分で自分を傷つけるようなことしちゃって・・・
  野球のボールをのどにおもいっきり何回もぶつけたんだ・・・・・すごーく痛かった。
この頃、のどが痛いのって、そのせいかな?」
と、言うのです。
ルカは、この頃風邪気味で、のどが腫れているようなので、ボールをぶつけたからじゃないと説明して、安心してもらいました。

やはり、まだ自傷行為をしているのか・・・と、思いました。
この頃は、いろいろな面で落ち着いているようなのですが、気持ちだけでは乗り越えられない?ことがおこると、自分を傷つけることで、落ち着こうとするようです。
これは、おそらく成人になっても、続くものでしょう。
それでも、他人の目に触れない形で行うことを、彼は身につけている訳ですから、習慣づけておいて、よかったなあと思う次第です。

それにしても、自傷行為という、重いテーマにも関わらず、風邪でのどが痛いのに、ボールをぶつけたからかもと、心配してしまうルカは、幼いというか・・・なんか、笑っちゃいますよね。

お大事に、ルカクン。

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