隠し事
ルカが幼少の頃には、自閉症の子は嘘をつかないとか、冗談がわからないとか、言われていたと思うのですが、最近ではある程度は、嘘もつけるし、冗談・・・とくにだじゃれなんかはだーいすき!!という、自閉症のお子さんも少なからずいるということがわかったきたようですね。
自閉症のなかまであるルカも、実はだじゃれ大好き人間で、近頃はとうとうテレビの「笑点」の番組の存在を知ってしまい、毎週爆笑しています・・・。
まあ、あれぐらいわかりやすい笑いだと、ルカにもわかる。という考え方もあるか・・・
嘘をつかないという他にも、自閉症の子は、「恥ずかしい」がわからない。隠し事をしない・・・というふうに思っている人って結構多いのでは?
しかし、アスペルガーの子になると、様々な感情がふと顔を出すことがあり、私などは、こんな事も感じられるようになったのかと、驚いてしまうこともあります。
例えば、先日も・・・・・
ルカの部屋に入るときは、必ずノックして「入っていい?」と聞いてから、ドアを開けることにしています。
ルカは、なぜか部屋での行動を他人に知られたくないらしいのです。
私が部屋に入る前に、「ちょっと、待って・・・」という声とともに、バタバタと片づけているらしい音が聞こえてきたりします。
ところが、この前はどういうわけか片づけるのを忘れてしまったらしく、部屋には、小さい頃夢中で遊んでいたプラレールの部品で、きれいに駅が作られていました。
別にそんなに隠すことでもないのになあと、私は思ったのですが、本人は大慌て・・・真っ赤な顔で、
「お母さん・・・・、ぼ・ぼ・ぼくの部屋にアレがあったこと、連絡帳にかかないでね」と言うのです。
連絡帳とは、学校用で、毎日家での様子を一言担任の先生にお知らせするためのものです。
「うん。わかったけど・・・何で?」と、私・・・
「それは、つまり・・・そのー、プライバシーの問題だから・・・」と、ルカ。
ほほう・・・ルカがプライバシーなんて言葉を使うとは・・・
ルカは、それ以上の説明が出来なかったのですが、私が思うに、プラレールは子供のおもちゃであって、それで遊んでいるのは中学生らしくない。つまり、ルカ的に言うと、ダサイのであって、誰にも知られたくなかったのでしょう。
それと同時に、ルカにとって自分がとても大切にしているものを、自分だけの秘密にしておきたいという気持ちもあったのではないでしょうか。
それって、10代の少年にはよくあることだと思うし、そんな複雑な感情を、ルカももてるようになったんだなあと、しみじみ思いました。
また、こんなこともありました。
ルカが鍵をもって出かけるのを忘れてしまって、ルカが外出中に私も出かけてしまい、家に入れなくなってしまいました。
自宅前の公園で、時間をつぶしながら、1時間あまり私の帰りを待っていたそうです。
以前だったら、パニックになったルカなのに、よく待っていてくれたなあと、思いつつ、私は、ルカが本屋さんで買ったばかりのマンガ本を持っていることに気づきました。
「公園でマンガ本読んで、時間つぶしたの?」と、私が聞くと、
「いや、マンガ本は読んでないよ。」と、ルカ。
「だって、公園にいる子に、僕が何の本読んでいるか、知られたら恥ずかしいもの・・・」と、うつむいていました。
以前、友達からマンガ本の事で、からかわれた経験を、ふと思い出してしまいました。
うーむ、なかなか難しいものですねえ・・・
いろいろな感情を持ち合わせながらも、世間とのギャップに悩むルカでした。
(ルカにプライバシーの問題だと言われたとき、そのプライバシーをHP上で公開していることに、罪の意識を感じてしまいました。仮名なので、許して下さい。)
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