・近況報告 その14


衣替え

ちょっぴり肌寒い季節になってきました。
10月は、衣替えの季節。
普通の家庭ならば、別に・・・・・というところですが、自閉症の子供がいる家庭では、ちょっと憂鬱な季節かも知れません。
やっとの思いで、半袖・半ズボンに慣れてくれた我が子なのに、今度は長袖・長ズボンになりなさいなんて・・
変化を嫌う自閉症のお子さまにとっては、ちょっぴりつらい時期ですね。

我が家のルカも、そんなに強くはないのですが、服装についてのこだわりが小さい頃からありました。
小学校くらいから、半袖から長袖になるときに、ちょっとぐずぐずいうことがありました。
でも、有無を言わせずに着替えさせると、それ以上は抵抗しない子だったので、こちらも助かっていました。
朝晴れていると、「今日は夏だー」と、12月に言っていたりして、なかなか季節感を身につけるって大変な事なんだなあと、ルカを育てて初めて知りました。
いつから夏で、いつから冬なんだと、よく質問していたルカですが、衣替えの存在を知ってから、何とか半袖と長袖の区別をする目安が、出来てきたようです。
しかし、6月に衣替えといっても、すでにその前から暑かったりして、そうするとそれがまた混乱のもとになっていたりして、結局のところ、私との"バトル"を繰り返して、着替えたりしてました。
不思議なもので、主人がどんなに「今日は暑いから半袖だ」といっても、言うことを聞かないのに、私が言うと、あきらめて着替えてくれたりということが、何度もありました。
ルカにとっては、衣替えのことでなくても、自分の理屈通りにできないことって、何度もあるはずです。
最終的に、どこで折り合いをつけるかと言えば、自分にとって一番信頼できる人の言うことを、聞くしかないのでしょう。
我が家では、ルカにとってのキーパーソンは、私であり、私の一言で決着がつくことが多いようです。

中学生になってからは、制服というものが存在し、普通の子供にとっては、やっかいなものなのかも知れませんが、ルカにとっては、この上なくわかりやすいもので、6月になったら夏服、10月になれば冬服と、スムーズに着替えができています。
一週間くらい移行期というものがあって、どちらを着てもかまわないのですが、ルカはそんなこと関係ありません。
どんなに暑くても、10月1日には黒い制服で、びしっときめて登校するルカでした。

ところが、10月も5日位過ぎた日の朝、ルカに異変がおきました。
「今日は暑いから、夏服でいく」といって、
すでに、着替えてしまっていました。
その日は確かに暑く、季節感から言うとルカが正解なのですが、移行期も過ぎており、中学は服装が厳しいので、校則違反と注意される可能性がありました。
「確かに暑いけど、中学は10月から冬服だって、校則で決まっているでしょ。注意を受けるかも知れないけど、どうする?」
と聞くと、しぶしぶ冬服に着替えていました。
「いってらっしゃい!!」と、ルカを送り出してから、これでよかったのかと、考えてしまいました。
せっかくその日の気温で、ふさわしい服装が出来るようになってきたのに、校則があるからと、そちらを優先させたわけですが・・・・・
この世の中ってほんとに矛盾だらけで、ルカでなくても、ため息が出てしまいます・・・。


前に戻る