運動会
秋は運動会の季節。
特殊学級に通っている子供は、この時期ちょっぴり忙しいのです。
なぜなら、運動会が2つあるから・・・・
1つは、普通の学校でやる普通の運動会。
もう一つは、市の特殊学級の生徒が集まってやる合同運動会。
おまけに、10月2日には、市内の中学2年生が集まってやる体育大会があり、ルカも団体演技で参加する予定です。
昔のルカだったら、もうギブアップ!!!
運動会を楽しめるようになったのは、小学校4.5年の頃からです。
それまでは、自分の出番の時は、なんとか出来るのですが、待ち時間がだめでした。
かけっこも、別に何位であろうが気にせず、マイペースで走っていました。
しかし・・・・・
いつの頃からか、一等賞をとることを目的にしてしまったルカ・・・・
それから、君の苦しみは始まったのだ・・・・・
今日は数ある運動会の中でも、特殊学級の子しか参加できない合同運動会の話です。
合同運動会は、親も付き添っていく人が多く、久しぶりにルカと一緒に、某競技場へ出かけました。
特殊学級の子供達だけの運動会なので、そんなに競争率は高くないのですが、それでも、必ずしも一等賞がとれるとは限りません。
ルカの足の速さは、普通の中学生で考えれば、中の下ぐらいでしょうか・・・
なんとか、100メートル走は6人走って一位でした。
しかし、問題は持久走・・・・
1200メートルを300人くらいの子が一斉に走るのですが、ルカは昨年これで失敗。
ペース配分がわからなかったらしく、初めから、おもいっきり走って最後は、おなかを抱えて歩く始末・・・・
それでも160位ぐらいだったのですが・・・・
1等賞を目指している彼が、かなり落ち込んでしまったのは、当然のこと。
そして、今年。
昨年の失敗はしないように、ゆっくりスタート。
しかし、どこでラストスパートをかけたら良いかわからず、最後の最後だけ、全力疾走した感じでした。
結果は、74位。
それでも、昨年に比べたら上出来と、皆が慰めたのですが、ルカに通じるはずもなく、かなり落ち込んでいました。
彼によると、「僕の希望より73位遅い」・・・・
つまり、彼は一等賞をねらっていたということです。
テストは満点・順番は1位じゃないと気が済まないアスペルガーの人って、結構いたりして・・・
何でも、完璧を目指しているように見えますが、実は、事象に対する評価の度合いが、細分化されていないせいなのかもしれません。
1か100、良いか悪いかと言うように、実に単純な物差ししか持ち合わせてないのかも知れませんね。
例えば、彼がものの速さを比べるとき、引き合いに出すのが、新幹線の速さです。
「僕って走るの速い? 新幹線より速い?」
この質問に何度うんざりさせられたことでしょう。
ちょっと、違う話かもしれませんが、この頃はたとえ話にも凝っていて、珍しい事があったりすると、
「これって、JR・Y線の逗子行きが来るよりも、珍しいよね。」とか
「これって、ノコッチ(テレビゲームに出てくるキャラ)の出現率より確率低い」
などと言っては、自己満足しているようです。
しかし、まったく曖昧な表現が出来ないかと言えばそうでもなく、「まあまあ」とか「ちょっとはできたかなあ」というような、会話もできます。
そういう、アンバランスなところが、彼と話していて楽しくもあり、非常に疲れるところでもあります。
ところで、この日、特殊級の同じクラスの子のお母さんがつい口が滑ってしまったのか、ルカにおもしろいことを言ってました。
「君は、しゃべり過ぎだよね。あんまりしゃべると(障害を持っていることが)バレちゃうよ」
ルカは、学校の授業時間など、きちんと設定された場面では、非常にまじめで、なんで特殊学級にいるのか
不思議に思う方もいらっしゃるようです。
ところが、合同運動会って、自分の出番以外は、とてもフリーで、ハイテンションのルカは、実に饒舌になっていました。
お得意のたとえ話もたくさんして・・・・・
ああなるほどと、あのお母さんは思ったに違いない。
しかし、同じような?障害をもつクラスメートは、そんなことは気にせず、ルカの言うことを笑って聞いてくれてました。
いい仲間に恵まれて、よかったね!!
前に戻る