入門書
夏休みに入り、一週間が過ぎました。
ルカは例年通り、夏休みのはじめは宿題を全部終わらせることに集中していました。
これが終わらないと、彼の本当の夏休みは来ないようです。
宿題の内容は、ごく簡単な算数の問題だったので、めでたく終了したもようです。
さて私も一応夏休み・・・毎日が夏休みではないかとつっこまないでください!
年を経るごとに、暑さが身に応えるようになった私。
昔はどんなに暑くても、ルカやミミをつれて外出しておりましたが、もう〜そんなことはできません。
夏が過ぎるまではおとなしく家にいようと心に決めました。
そうだ、家で静かに読書三昧にしようと思った私。
そう言えばこの頃、アスペ関連の本を読んでないなあー。かねてよりちょっと気になっていた某アスペ入門書・・・でも大体内容は想像つくし、本屋で取り寄せするのもめんどくさい・・誰かに借りようか?などと躊躇しつつ、そうだ、送料が少しかかるけど、インターネットで注文しよう!と考えつき、早速注文。某入門書は、注文して3日後には私の手元に届きました。
便利になりましたねー。あれは5年以上前のことだと思いますが、同じくネット注文して、ネット接続料+送料で本の代金と同じくらいかかったことを思うと、日進月歩に目を見張る思いです。
さて、届いた本をぺらぺらめくっていると、ルカが寄ってきました。
「へー、読んで見たい」と珍しく興味を示したので(ルカはゲームの攻略本と漫画以外は読みません)、ルカに読んでもらいました。
読書習慣のないルカなので、難しいところはとばし、興味のあるところだけを見てました。
いろいろアスペの特性が書いてあるところを読み、「俺はこの本に書かれている程じゃないと思う」などと感想を述べていました。そーかなー???
しかし、「暗黙の了解・・・言わなくてもわかる・・・」等々が書かれているところになると、
「そうなんだよ。それがわかんないんだよ」とうなずいておりました。
ルカの話によると、高等養護での作業実習でのこと、実習の先生にルカはよく「いちいち言われなくても動く!」と声かけされているようで、それがルカにはどうにもわからないというのです。
そうなのです。療育関係者からすると「言われなくてもわかるだろう?」のような発言は、自閉症、アスペの子に対しては、禁句の部類に入るでしょう。
ところが高等養護では結構言われてしまって、私もちょっとびっくりです。
どうしたものか・・・実は私も少し悩みました。
確かに、療育の世界では発達障害のプロがやっているわけですから、そのような発言をしていたとしたら、プロとして失格だと思うのです。
でも、実際の社会、特に職場ではこの種の発言はとても多いことだろうと思います。
将来ルカが社会に出て行くとしたら「言われなくてもわかるだろ?」と注意される場面がきっとあるに違いないのです。
ここは、先生に「そのような発言はやめて下さい」とお願いするよりも、そう言われてしまったときに、自分はどうすればいいのか?対処法を検討すべきだと思いました。
まず、わからないことは聞くという習慣をつけること。できれば、自分から「僕は指示をはっきりしてもらわないと、わからないです」と言えるようになるのが理想かもしれません。
実際の職場では難しいことかもしれませんが、学校にいるうちに自分の苦手な部分を他人に説明できるようになる・・そんな勉強も必要かも知れません。
それから言われなければ全くわからない、というわけでもないのです。ある程度、自分から気づいて動けるようになるのも大事です。
ルカには少々きついことかもしれませんが、世の中には作業の先生のようなタイプが多いわけですから、もしこれで乗り切れるのであれば、それでもいいかなあーと思いました。
幸い1学期をなんとか乗り切れ、これからもやっていけそうな見通しがつきました。
いやな思いをしても、帰宅後、私に報告したり、作業学習以外の学校生活で気分転換を図り、楽しく過ごせているようです。周りのフォローと息抜きということが、ルカの元気の源になっている様子です。
高等養護の先生は、「就労」という目標を常に背負っているので、どうしても生徒の実態把握よりも目標達成ということに目がむいてしまうのかも知れません。
それに加えて、もともと知的障害児対象ということもあって、高機能自閉症やアスペには向いてないといううわさもありました。
しかし、実際入ってみて、それらしきお子さんはたくさんいます。障害の早期診断ができる現在、親の意識が高くなって、賢そうだけど実は障害があって・・・という子供達がこれからどんどん入ってくるのでは?と予想されます。(というか、そういう子供達にぜひ門戸を開いて欲しいと思っています)
今のままでも十分かも知れませんが、同じ厳しさでも、そうした子供達の特性を知ったうえでやるのとそうでないのとでは、指導の仕方が微妙に違ってくるんだろうな・・という気はします。
そういった意味でこの「入門書」、親御さんだけでなく、学校の先生方に是非読んでもらたいと思っています。
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