・アスペルガー症候群と自閉症
アスペルガー症候群が、自閉症の一形態なのか否かということで、専門家の間ではかなり議論がかわされてきたようですが、1990年代には、自閉症の一形態であり、広汎性発達障害であるとの見方が、一般的になってきました。
最近の研究によると、アスペルガー症候群と診断される年齢は、幼児から成人まで広がってきており、その診断をうけるまでには、以下の六つのルートがあるようです。
(参考図書:ガイドブック アスペルガー症候群 親と専門家のために トニー・アトウッド 冨田真紀,内山登紀夫,鈴木正子訳 東京書籍)
1.幼児期の自閉症の診断から
2.初めての学校生活の経験から
3.別の症候群の変則的な現れから
4.近親の自閉症かアスペルガー症候群の診断から
5.二次的な精神医学的障害から
6.成人期に残存するアスペルガー症候群から
ルカは、このうちの「1.幼児期の自閉症の診断から」に該当します。
と、このHPの立ち上げの時に書きました。
実を言うと、この頃本当にこのHPは「アスペルガーの部屋」でいいのだろうか?と思うことがあります。
アスペルガー症候群や高機能自閉症は知的障害がない自閉症のことを指しますが、、ルカの場合、若干の知的障害もあります。
おまけに、アスペルガー症候群は幼児期には診断されないものという考えもありますから、幼児期にばっちり「自閉症」と診断されていたルカと、成人期にアスペルガーと診断された方とは、イメージが違い過ぎるのではないか?という懸念もあります。
「アスペルガー」で検索して、せっかく私のHPに来てもらっても、「なんだ違うじゃないか」とがっかりしてしまわれるんじゃないか、アスペルガーと診断された多くの方は、学校では普通学級に所属しているわけで、ずっと障害児のクラスで過ごしてきたルカに共感してくれるだろうか?などと考えるわけです。
ところが、実際私のHPに来て下さった方の感想を聞いてみると、成人期に診断された方でも、ルカの幼児期からの様子を書いた「ルカの事件簿」や「ルカ語録」に共感して下さる方が多くいらっしゃることがわかりました。
「自閉症」と「アスペルガー」って、結局は同じなんだなーと感じる瞬間でもあります。
知的障害を伴う「自閉症」という診断であろうと、知的障害を伴わない「高機能自閉症」であろうと「アスペルガー」て゜あろうと、それは社会に適応する能力とは全く別のものなのだということを、HPを開設して改めてわかりました。
私の本音で言えば、もういちいち「アスペルガー」なんて言ってないで「自閉症」でいいんじゃないの?と思うときもあります。
一方、自閉症ということではなくて「アスペルガー」ということをHPのタイトルにしたおかげで、障害ということに抵抗がある方も気軽に来て頂いているのではないか?という気もしています。
特に我が子に発達障害があるということをまだまだ受け止められない親御さんにしてみると、一般的には軽度だと思われがちな「アスペルガー症候群」という診断名は、比較的受け入れやすいものなのかもしれません。
それで、そのキーワードで私のHPに来てくれて、それは実は「自閉症」なのであって、いろんなケアが必要な子供なんだよということを、徐々にわかってもらえたら、それはそれでいいことですね。
そんな理由もあって、やはりこのまま「アスペルガーの部屋」で行こうかな?と考えているところです。
近年、新聞やテレビ等でもアスペルガー症候群ということが取り上げられる機会が多くなり、幸か不幸か私のHPへのアクセス数もそれと連動して伸びることがあります。
「アスペルガー症候群」ということが皆さんに広く知られることはとても喜ばしいことであります。
しかしながら、多くの場合、対人関係等には障害があるけれど、特異な能力を持ち合わせ、その特異な能力を生かした職業に就けるような印象を与えていたり、障害の特性を極端に取り上げて、とても奇異な印象を与える報道も少なくありません。
そのような時も、私のHPに「アスペルガー」という名前を付けるのはよそうかなーと思う瞬間であります。
私は「天才」と呼ばれる人は、障害のある人でもない人でもごくごく希にしか存在しないものだと考えています。
当然のことながらルカはそのようなタイプの人ではありません。
私のHPを読んで、こんなタイプのアスペルガーの人もいるんだなー、こうやって地道に生活していくのも悪くはないなーと思っていただけたら幸いです。
(2006年4月 ルカママより)
プロフィールに戻る