普通級にするか特殊学級にするか、悩んでいるお母さんの話を何度か聞く機会があるのですが、悩んでいる理由の一つとして、「子供がいやがっているから」と言うお母さんが少なからずいます。
ルカの場合は、リハセンターへ行くときも特殊級に行くときも、いやがったということはありませんでした。
というか、小さい頃はいやだという明確な意志表示は出来てなかったように思います。
小学6年の頃、その頃はどうやら特殊学級はなんか弱点を持っている子がいくらしいと、気づき始めたとき
「中学は普通級なんてどう?」
と、私に言ったのが最初だった気がします。
それに比べて、小学校を選ぶ時点で、はっきり「いやだ」という意志表示ができるなんて、やっぱりうちと違って、小さい頃から高機能自閉症やアスペルガーの診断を受けている人は、違うのね・・・・・と、思ったりもしました。が・・・・・・
どうしていやなのでしょうか。
そりゃー、やっぱりみんなと一緒の方がいいに決まってる。
小さいときから特別扱いしたら、子供がかわいそう。
障害を持っているからって、隔離されたんじゃーたまらない。
なにも、そんなに早くからあきらめて、特殊級なんかにいれることはない・・・・
ルカを特殊級にずーっと在籍させてきた私としては、特殊級に対する失言の数々をたくさん聞いてきた気がします。
そういう私も、ルカが障害児でなかったら、障害児のための特別な機関を、偏見の眼差しで見つめ、そして自分が偏見を持っているということさえ、気づかずに過ごしていたのかも知れません。
ルカを特殊級にいれると決めたときは、今まで自分がもっていた偏見との闘いだった気がします。
そして、それは今も続いています。
ルカが障害を持っている事は認められても、今度は障害児同士のなかで、競争意識を持ってしまい、ルカより重い子をみて優越感にひたり、軽い子をみては嫉妬にかられ・・・・そんな自分に嫌悪感を抱く毎日です。
それでも、そういう偏見を自分が持っているということを気づけただけ、まだましかなあ・・・などと、思ったりもします。
「子供がいやがっている」というのは、そういう親や社会全体の風潮が子供自身に影響しているとも考えらるのでは?
障害のない子をもつ親でも、いくつものおけいこ事に通わせ、
「この子が行きたいというから行かせている」
という、お母さんがいるのですが、果たしてどこまで本当のことなのかしら?と、疑問に思うことがあります。
まだ、2・3歳の子が本当に自分の意志のみで、通いたいなんていうのでしょうか?どこかで、通った方がいいと、教え込んでいるに決まっている・・・なんて、思ってしまうのは私だけでしょうか?
アスペルガーの子が、本当にいやがっているのだとしたら、親がいやがっているのとは別の理由からだと思います。
例えば、幼稚園のころから集団の中にいた子は、ただ単に環境の変化に不安を感じているのかも知れません。
大人数の中にいることが、けっして本人も居心地がよいわけでもないのに、その居心地の悪さににさえ気づかずに、ただ、今までやってきた習慣から、抜け出せないのでは?と、思います。
それを、親は自分のものさしで子供を評価し、「この子は集団でいた方が、うれしそう」なんて、思ってたりしてないでしょうか?
もちろん、集団が好きだというアスペルガーのお子さまもいるかも知れません。
ただ、もっと自分にとって居心地のいいところがあるのに、本人がそれを知らないということも、考えられると思います。
誤解されたくないのですが、私はなにも特殊級に行くことを、皆さんにすすめている訳ではありません。
すでに、別のところで書いているように、現在の特殊級はアスペルガーの人たちには、あまりおすすめできないかも知れません。
それでも、何らかの形で、特別の教育が必要なのは、確かです。
もし、本人がいやだと言っても、その子のためにどんな教育を提供をしたらよいのか、冷静に考えるべきです。
特殊級という事だけではなく、障害児学級への通級や専門機関での治療も含めて、もしかしたら自分の子供にあったところがあるかも知れないのに、
「子供がいやがっているから」
と、子供のせいにして、そういうものに背を向けないで欲しいなあと思います。
しかし、「個を大切にする教育」なんてことが言われていますが、現実にはまだまだ遠い話です。
自閉症のためのクラス・アスペルガーのためのクラス・・・・そんなふうに、本当に自分に合った教育がごく自然に受けられるような世の中になって欲しいと願ってやみません。
私が生きているうちに・・ルカが生きているうちに・・この世が終わる前に?
前途多難ですよねえ・・・・・
こんなことをいろいろと考え、やはり親同士が結束して、活動したらいいんじゃないの?と、思った時期がありました。
しかし・・・・・
現実には難しいんですよねえ。
だって、特別クラスなんていらない、専門家の言うことはもうたくさん!!
勉強の内容がわからなくても、少しぐらい友達にからかわれても(本当に少しなの?)、みんなと一緒にいることに価値がある!!
きっと、そう思っている親御さんのほうが、まだまだ多いのです。
アスペルガーではないのですが、私がある親の会に入っていたとき、私と他のお母さん達との意識のずれを感じ、世間では私の方が浮いているのだと言うことを、思い知らされました。
行政がどうのこうの言ってるけど、結局のところ足を引っ張っているのは親だったりして・・・・・
そんなことないですよね。失礼しました!!