<ルカママより>

ルカが本格的に電車にのめり込んだのは、意外に中学校に入ってからです。
それまでに、いろいろなことに夢中になっては長続きせず、趣味の続かない奴だなーと思ったこともあります。 歴史にポケモン、ヨーヨー、野球等々です。
でも、もっと昔を遡れば、ルカが1歳〜2歳くらいの愛読書?は地図帳でした。
路線を指でたどっていくのがお気に入り・・・電車好きに、なるべくしてなったとも言えるかな?

さて質問にお答えします。

○いつ頃・・・遠いところは、だいぶ前からいろいろ調べてますが、近場は前の日やその日にふらりということも。

○どのように、何を見て・・・はじめは地図帳を見て場所だけ確認。時間や電車賃のことなど一切頭の中になかったようでした。
それでは心配だったので、親がパソコンソフトの駅すぱあとの使い方を教えました。
それからは、時刻表、料金表等々細かく調べるにようになりました。

○どの程度の細かさ・・・彼にとっては、所要時間や電車賃より、どのルートで、乗り換えをどうするかが興味の対象のようで、乗り換えルートは綿密に調べます。(最短距離とかではなく、どの電車に乗れるか、どの電車を写真に撮るか等)
その他のことが大雑把で、時間を調べてなくて門限(6時)に遅刻したり、電車賃を調べてなくて帰りが足りるのか冷や冷やしたり・・・という失敗談があります。この頃は時間、料金も調べるようになりました。障害者手帳の割引の有無も調べます。

○報告の義務づけ・・・かつての失敗の経験から、行き先の確認(門限に間に合うように帰れる場所か) 所持金の確認は必ずします。
門限に遅れる場合は必ず公衆電話から自宅、または携帯電話へ連絡するように言ってます。過去2、3度連絡がありました。
お金をどの程度持っていくかの判断は、ルカには難しかったようで、いつもギリギリをもって行こうとするので、電車賃プラス昼食代1000円は必ず持って行くように指示してました。 この頃は慣れてきて、もう少し余分に持っていっているようです。私がお餞別をあげて、おみやげを買ってきてもらうこともあります。

その他に電車の旅で心配なこと。

○昼食・・・電車のマナーは小さい頃から教えてきたつもりでしたが、昼食のことでは心配しました。コンビニでお弁当を買うまではいいが、それをどこで食べるか?とか。変なところで食べて注目を浴びているのではと、正直今でも心配です。とりあえずベンチのあるところを探しなさいと本人には言ってあります。コンビニだけではなく、マックに入ったり、時には立ち食いそばやさん等に入って食べられるようになったのは、うれしい誤算でした。

○カメラ・・・電車の写真を撮るのにカメラを持って行ってますが、電車を撮ろうとして見知らぬ人の顔がドアップで写っていたことがあります。カメラを撮るときのマナーも教えなければなりません。とりあえず「人は撮るな!」が基本です。
「学校の旅行の時は友達の写真を撮ってきてね」と言ってしまう私。矛盾してますよねー。人を撮る場合は「相手の許可を得た上で撮ること」がキーワードかな?

○マナーの悪い人を見たとき・・・露骨にいやな顔をして、いちゃもんをつけられるのではと心配です。「人に注意は絶対にしない」と、これは彼が小さい頃から何度も言い続けています。自閉症の人は自分の価値観が絶対でそれぞれの立場がなかなか理解できなくて、外出すると理不尽に思うことがたくさんあるようです。ルカには「人の考えはそれぞれ違う、ルカの考えが正しくても人に押しつけてはいけない。いやなら自分がその場から離れること」ということを、話しています。
彼はそれでも納得いかないようですが(例えば喫煙、携帯の使用、子供が騒ぐこと)、他人に注意するということは我慢してます。だけど、小さい子をにらんだり、多少のヒンシュクはかっているんだろうなー。

○マイペース・・・切符の買い方、お金の出し方等々、きっと時間がかかって、周りの人をいらいらさせているのでは?と予想されます。うーん、こればっかりは仕方ない? だいぶ慣れてきたとは思いますが。

○困ったときは・・・何かトラブルに巻き込まれそうになったら、ヤバイなと思ったらとりあえずその場から離れること、逃げるが勝ち?というような説明はしてます。それと、駅員さんや交番に助けを求めなさいとも。
幸い今まで大きなトラブルはありませんが、切符の買い方がわからなかったりすると駅員さんに聞いたりできるようになっています。彼は少し前から障害者手帳を使ってるせいか、駅員さんも丁寧に教えてくれるようです。

その他、もっともっと出てきそうな気がしますが、このくらいにしておきます。
電車の旅を始めて、彼の世界はぐんと広がりました。なんと言っても親の束縛から離れて一人で行くと言うことが彼にとってはこの上ない楽しみなのでは?と思います。 ただ単に電車に乗ると言うことではなくて、社会との関わりを経験するということでも大変いいことだと思います。
思えば、電車の旅のおかげで、一人で外食できるようになり、写真の現像を頼んだりインスタントカメラを買いに行ったり、買い物も積極的にできるようになりました。 また自分のお小遣いで行くということで、金銭感覚も見につき、お金の大切さもわかってきたようです。 自分の撮ってきた写真を人に見せることによって、ちょっとした世間話もできるようになりました。 その反面、リスクも伴います。自分の子供がどの程度になったら、外出を自由にさせたらいいのか、判断は難しいところですね。
私は今でもルカが電車の旅に行くときは覚悟を決めてます。もし、何かのトラブルに巻き込まれて緊急事態に陥っても冷静に対処しなければ・・・と。


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