◆インコ◆
数年前まで我が家にはインコがいました。(残念なことにもう死んでしまったのですが)
私の実家にもインコがいるのですが、そのインコはよくしゃべります。住所までしゃべります。
ルカも我が家のインコにしゃべってほしいと思い、言葉を教えようとしましたが、その様子を見ていると、どうも人間が言葉を取得するのとインコとの違いがわかってないような気がしました。
いわゆる「オウムがえし」とはよくいったものだと思いますが、意味もわからずに、相手の言ったことを真似をするのがインコの言葉の習得法・・・しかし、ルカはこのことがよくわからないらしく、ある単語を教えるとその意味まで教えようとするのです。そんなこともあってか?我が家のインコは一言もしゃべりませんでした。
でも、ルカの良き友だったことは間違いありません。
ルカは完全なる独り言を言うことよりも、誰かに向かって話したいタイプ。
当然、その相手は私だったりするわけですが、いつもいつも聞いているのはとても疲れます・・・「ルカ、ちょっと今は話聞けないんだけど・・・」私がそういうと、よくこのインコに向かって話しかけていました。
今では、ルカの話が止まらなくなると、「あー、あのインコが生きていてくれたらなー」と思ってしまいます。
◆カツアゲ?◆
中1の頃。
中学には不良がいる・・・入学当初のルカの言葉です。直接被害に遭うことはめったにありませんでしたが、一回だけ、自宅マンションの敷地内で「お金を出せ」と軽くどつかれたことがありました。
あれはまだ学校が隔週土曜日が休日だった頃、土曜日の下校時、もう少しで我が家に・・・というところで通せんぼされたらしいです。
ルカは必死の思いで逃げだし、「お母さん、同級生の○○君が・・・」と言いながら帰ったきたのでありました。ルカパパもいたのですぐ現場へ一緒に行きましたが、もう誰もいませんでした。
まあ、真剣にお金を取ろうとは思ってなく、ちょっと気の弱いルカをからかいたかっただけかもしれませんが・・
その後学校に連絡し、すばやい対応をしていただけので、それからはそんなことはなくなりました。
それでも、下校時間にちょっとしたトラブル・・というのがちらほらあり、そんなこともあってか、彼は登下校の道のりはいつも走ってました。
途中まで同じ道を通って小学校に行っていたミミは、友達から「あっ、ミミちゃんのお兄ちゃんだ。いつも急いでいるね〜」とルカが通るたびに言われていたそうです。(^_^;)
◆服装◆
中1の頃。
特殊学級の宿泊学習があり、朝は学校ではなく、某駅に集合ということなりました。
その時の服装は学校指定のジャージでということだったのですが、ルカの学校は普段はジャージでの登校を禁止されていました。
某駅には電車に乗って行くのですが、ルカは「電車の駅員さんに校則違反だって怒られたらどうしよう」とかなり心配の様子でした。
当然のことながら、ジャージで電車に乗ってもだれにも何も言われることもなく、ほっと一安心のルカ。
「ねっ、校則で決められていても例外もあるし、電車の中で服装をいちいち注意する人はいないよ」と私が言うと
ルカは「うん、わかった! でも新幹線ではどうだろう?」と言ったのでありました。
だからあ〜、そうじゃなくて!
◆場違いな発言◆
小6の頃、日本脳炎の予報接種を受けに、近くの診療所へ行きました。
注射が苦手だったルカも、もうこの頃は我慢できるようになっていたので、お医者さんに特に障害のことも言わずにいました。
「始めチクリとしますが、後は痛くないですからねー」
と、おきまりのお言葉をいただきいざ注射!となったとき、ルカは突然
「えーと、隣の部屋は何をする所ですか?」と聞くではないですか・・・。
お医者さんは、予想外の質問にとまどいながらも「レントゲンを撮るところだよ」と答えておりました。
何がどう悪いのかと聞かれると、別にどうってことのないひとこまなのですが、この微妙なズレ、微妙だけにルカに言っていいものかどうか・・・悩めるルカママでありました。
◆プチ家出◆
小学校高学年から中1ぐらいの時は、今思うとルカの反抗期だったかなーと考えられます。
ちょっとしたことでもすぐにカーッとなって、泣いたり大声出したり・・・。
そして彼はそのうち自分なりの気分転換の方法をみつけだしました。それがこの家出。
家出といっても、まあ〜散歩です。長くても1時間で帰ってきました!
きっかけはドラえもんです。のび太がお母さんに怒られて家出するシーン。時々ありますよね。
それに影響されたようです。
はじめは家族全員心配しました。でも・・・だんだん慣れてきて
「家出する!」と言われると「車に気をつけて・・・」などと言ってほっといてしまいました!
やはりカーっとなった時の対処法は、物理的に場を変えるということが基本だなーと私は思っています。
◆サッカー◆
ルカが5年の頃、
他校との球技大会で、ルカも交流級でサッカーの試合に出ました。
事前の練習でのこと。特殊学級の先生もルカに熱心に指導してくれて、無事練習終了。
「ルカ君がんばったね」先生の言葉にルカは言った。
「あのー、それで・・・どっちが敵でどっちが味方だったんですか?」
そうなのよ、そういうことがとっても難しいのです。
◆箸事件◆
この話も下のうさぎ事件と同じ頃のことです。
給食交流での事。ルカがお代わりをしようと席を立ち、席に戻ってみると自分の箸がない!
さっきまであったのに・・・「誰がとったんだー」と言ってしまったルカ。
すると「とったんじゃないよ、ほらっ、ここにあるよ」と、隣の子が言って、箸は給食ナプキンの下から出てきたとのこと。
席を立つときは確かにナプキンの上にあったのに、誰かが隠したと思いこんでしまったようです。
交流級の生徒はルカの「誰かがとった」という発言に気を悪くしたようで、
特殊学級の担任の先生に「すぐ人を疑うのはよくない」と、強く叱られてしまいました。
ルカはこのことを、中3になった今でも納得していません。「人を疑うのは良くないのは知っている。でも、あのとき確かに箸は、ナプキンの上にあったのに、どうして戻ってきたらナプキンの下の隠れてしまったのだろう・・・」と。
どう思います?
確かに、ルカはその場であったことを正しく認識できないがために、誰かのせいにしてしまうようなところがありました。
だから、担任の言うことももっともなのです。
でも・・・この場合どうなのかなあ〜。
交流級の子にいろいろからかわれていたのは事実だし・・・考え出しても答えは藪の中。
解決しない事件は特に心に残ってしまうようで、このことに関してはかなり長い間、話を蒸し返していました。気持はわかるけど・・・。
◆うさぎ小屋事件◆
小学校5年の時。
小学校の委員会活動でルカはずっと飼育委員でした。
休み時間に当番の子達でウサギ小屋の掃除をやっていたときのこと。
ルカがウサギ小屋に入っていたときに、悪ガキが外から鍵をかけてしまいました。
幸い、一緒の当番だった女の子が気づき、やっと鍵をあけてもらったようですが、もちろんルカはとっても動揺したようです。
そして、その事件のあと、ルカは会う人、会う人に「ウサギ小屋事件の話を聞いて」と言って、しつこく話すようになりました。悪ガキは後で注意されたようだし、みんなの中では事件は終わっているのですが、ルカの中ではなかなか終わらず、長い期間同じ話をして、私はほんとにうんざりでした。
ちなみにルカは特殊学級の生徒なのに、6年の時、飼育委員長をやってました。
副委員長がその時ルカを助けてくれた女の子。この子にはほんとに世話になりました。感謝しています。
◆透明人間の出現◆
小学校4年頃からでしょうか? 近所の子達とちょっとは遊べるようになりました。しかし・・・トラブルはつきもの。ルカが砂場で山を作っていたときのこと、「ルカくんあれ見て?」と周りの悪ガキがあらぬ方向を指さし、ルカがそちらを向いているすきにルカが作っている山を壊すという遊びをやっていたようなのです。
「誰がやったんだ」と叫ぶルカに「それは透明人間」と言われ、ルカはかなり混乱しました。
私が周りの友達が嘘をいっているのだと説明しても「嘘なんて言うはずがない」とルカは納得してくれませんでした。
それから彼は混乱すると透明人間がでてくるようになってしまいました。
例えば、算数の問題が解けなくなると「僕は4年なのに3年の問題が解けないなんて・・・4年生の透明人間が出てきて僕をバカだといってる」などと口走り、私もこれはホントに心配しました。
思えば、あれが悩みの始まりだったのかも。
今では、穏やかに暮らしているルカですが、そんな時期もあったというお話でした。
◆下品な言葉◆
小学校3年の頃、まあまあ落ち着きつつあるルカでしたが、まだまだ周囲からシローい目で見られることがいっぱいありました。
その一つが、下品な言葉の連発。
「ルカくん、こんにちは」なんて、学校の担任以外の先生が義理でお言葉をかけてくれているのに、いきなり先生に向かって「ウ○コ、オ○ッコ」と大声で言ってました。
「そんな言葉つかっちゃダメ」なんて注意されるとますます面白くなってしまって。
まあ、幼児期にはふつーのお子さまもはまることがあるみたいだけど・・・。
あのころは道ばたで近所の人とかに声を掛けられるのが恐怖でした。
ちなみに今は、食事中うっかり「トイレ・・・」などと私が言うと、「お母さん、食事中に下品な言葉はいけません」と、逆に母をたしなめるルカです。
でも、ときどきハイ状態になって口走ることもありかな?
TVの「バカ殿」とか、超くだらないシモネタギャグが、大好きなんですもの・・・・・
◆行方不明◆
ルカが低学年の頃は、特学はルカ一人で先生とマンツーマンの日々だっのですが、先生がお休みすると、一日中交流級で過ごすということをやってました。
当然、うまくやれるはずもなく、交流級の先生も大変だったみたいです。担任の先生が休みだったある日、ルカは学校に迷い込んだ犬を追いかけ、行方不明となり、交流級の先生が一所懸命探したとのこと。
先生に探してもらって教室にもどったら、交流級の子達が大騒ぎしていたとのこと。
「自習してなさいっていったでしょ」と先生は厳しくクラスの子達を叱ったそうで、ルカはあれはいやだったなあ・・・と。どうやらルカは全体で叱られることがとっても嫌いなようで。
実はこの話、学校からは報告を受けてないのですが、ルカが最近思い出して話してくれたのです。
担任は「ルカクンはいなくなったなあと思うと、交流級に行って勉強してたりするんですよ」なんて言ってたものですが、絶対嘘だ!と今頃になって気づく私です。
◆授業参観◆
母親が授業参観に行くと平常心を失って、落ち着きがなくなる子って、普通の子にも多いのかもしれませんが、ルカの場合もかなり派手に落ち着きをなくす子でした。
私が教室にはいったとたんに私に飛びかかり、むやみに私をたたいたり、走り回ったりしてました。
もっと小さい頃、母子分離が難しかった4歳の頃は、私がいなくなるとパニック。
そこまではわかるのですが、また私が戻ってくるとパニックでした・・・
普通の"後追い"とはちょっと違ってたようです。
つまり、いるべきはずの人が突然いなくなって動揺し、そしてやっといなくなったことに納得したのに
また急にいないはずの人が帰ってくる不思議・・・とでもいいましょうか?
何故いなくなるのか、何故もどってくるのか、理解できてなかったのではないかと思います。
ルカが10歳頃でしょうか?
「運動会、見に行くからね」と私がいうと、「来ないで、お母さんが来るとどうしていいかわからなくなっちゃう」と言われました。
「お母さんが行っても、お母さんを見ないようにすれば?」と言ったような気がします。
そしてその頃からは、私が学校に行っても、今度はまるっきり私を無視をするようになりました。
彼なりに、母親がきたらどうすればいいのか試行錯誤があったのかな?
◆予防接種◆
小学校低学年の話題はどうしても愚痴が多くなります。
入学間もない頃、ツベルクリンの注射がありました。
ちょうど私がルカをお迎えにいく時間でした。
小学校の昇降口までお迎えに行くと、ルカがばたばたかけてきました。
そしてその後に「お母さん、止めて」という担任の声。
何事かと思っていると、ルカはそのまま私を無視して、昇降口の向かい側にある保健室へ。
私もあわてて追いかけましたが、時すでに遅く、そこにはツベルクリン注射をしたお医者様に飛びかかっていくルカの姿が・・・
「コイツだ!」とかなんとかいっていたような気がします。
どうやら、痛い注射を自分にしたお医者様を敵と思いこみ、仕返しをしに走って来たようなのです。
あわてて止めに入りましたが、多分・・・お医者様の腹・または股間に何発か蹴りを入れてしまった後でした。
それにしても、なんでこんなに混乱してるのか、担任に事情を聞くと、「ルカくんは注射が嫌いそうだったので、注射とは言わずに、苺を食べようといって保健室に連れていった。痛くないから・・となんとかごまかして注射をしたら怒りだしてしまった」とのこと。
「お手数かけてすいません」と先生に謝ってはみたものの、これって自閉症の子に対して一番悪い指導例だと思いませんか?
ルカにごまかしなど効くはずないのに。
なおも「苺食べよう」
とごまかす担任に「家に帰れば落ち着きますから」といって、ルカを連れて家路についた私でした。
もちろんルカは落ち着きましたよ。
一年のときの健康診断も最悪でした。検査不能の項目があちこちに。
検査不能とかかれるほど、ルカは手のかかる子だったとは思えないのですが。
対応の仕方を担任の先生にアドバイスしてみたのですが、アドバイスが通じる先生とそうでない先生がいるんですよねー。
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