ルカの事件簿


◆就学時健診◆
小学校入学を控え、就学時健診なるものを受けに行きました。
健診前に学区の校長先生に「特殊学級でお願いします。」と伝えて了解を得たはずなのに、健診は健診で受けないといけないようで・・・。
親がもうわかっているんだし、養総センターにも行っているのに、なんで今更、健常児といっしょにうけなくちゃいけないのか・・・私は憂鬱でした。
そして、当日。ルカは朝から発熱してしまいました。
今日行かないと、また学校に連絡して今日欠席した子供達だけで後日、受けなければいけない・・・そんなの嫌だ! こんなことは早くすましてしまいたい。
そう思った私は、健診の時刻にあわせて、解熱剤の座薬をして、それでもかなり熱のあるルカを連れていってしまいました。
うちのルカは、ちょっと熱があった方がテンションが下がっておとなしくしていられるので、物事をいい方に考え、いざ学校へ。
案の定、心配していた母子分離もスムーズにでき、ルカは6年の女の子に連れられて去っていきました。
そして、すべての検査を受けて、戻ってきました。
体のほうは異常ないようですよ。」と、じゃあ、どこに異常があるのか言ってみてよ、とつっこみたくたくなるようなお言葉をいただいて、会場を後にしました。
あとで、ルカにどんな検査をしたのか聞いてみたところで、たださえ答えられない所に、熱までだしているのですから・・・何をやったのかはわからずじまいでした。
学校によっては、特殊学級希望の人は別室でやってもらうとか、配慮してくれるみたいですけど、うちの学校は全くそんなことはなく、もちろん特殊学級の先生が来てくれるなんて配慮は皆無なのでした。
帰りは、解熱剤もすっかり切れて、ほんとにつらそうでした。 ごめんね、ルカ。

◆あらしの運動会◆
そろそろ、幼稚園・学校のネタを。
幼稚園や学校で自閉症の子がパニくるのって、やっぱり運動会かなあ。
そういう行事モノはばっちり!という自閉症のお子さまもいるけど、ルカはやはりもうたいへーん!
ルカにとって初めての運動会は、幼稚園年長さんのころ。(ルカは1年だけ普通の幼稚園に行ってます)
運動会って、幼稚園によっていろいろですが、ルカの所は午前中だけしかやらない地味めの幼稚園だったのですが、でもやることはやるという感じで、お遊戯、綱引き、かけっこ、組体操などをやりました。
運動会の当日、無難に種目をこなしていたルカでしたが、最後の見せ場、組体操の種目が始まるまで、ちょっと待ち時間が長かった。
ルカはこの待ち時間が大の苦手。
補助の先生が一所懸命面倒をみてくれたのにもかかわらず、ルカは限界。
ぎゃーぎゃー泣いているルカを抱いて、先生が私たちのもとへ・・・
「すいません。後は私たちでみます・・・」とルカを引き取りました。
なんとか、組体操までは、立て直さねば・・・。幼稚園の先生がこの日のために、ルカに一生懸命教えていたことを私は知っていたので、組体操をキャンセルするわけには行きませんでした。
なんとか、場所を変えたり、だっこしたり、なだめすかす私。しかし、いっこうに落ち着かないルカ。
「もう、みんな組体操の準備で並んでますよ」と、よそのお母さんにいわれ、絶望感を抱きながら入場門へルカをだっこして向かう私。
だめかも・・・・
そして、組体操の入場行進の曲がながれたとたん・・・
ルカは、私から離れ、みんなといっしょに並んで入場していくではないか!
そして、演技もばっちり。
もう〜。人騒がせなやつ・・・。
先生達にもご心配かけましたー。

・・・ちなみに小学校低学年の頃は、もっとひどくて、お遊戯はやったけど、徒競走は拒否が強く、まともに走ってくれませんでした。
あれは、ルカのせいじゃないよね。
ルカが運動会をまともに参加できるようなったのは小学校3年生からです。
小学校3年から担任が替わったのです・・・。


◆逆襲◆
ちょっと前に、ルカが5才頃お世話になったセンターの先生とお話ししたときのこと。
「あのころはパニックもすごかった」と私がいうと、
「パニックっていうより、いつも怒ってた気がする」と、その先生がおっしゃいました。
なるほど・・・。
確かに、始めのうちは混乱すると辺りかまわず大騒ぎのルカでしたが、それは自分の思い通りにならない怒りというふうにもとれるかも。
その怒りの矛先は、始めは自分でも何が何だかわからず、モノに当たったり自分に向けられたりしていたのが、だんだん状況が中途半端にわかってくると、怒りの原因となった"人"を攻撃するように変化していきました。
今となっては、ほんとに他人に手をあげるなどということは、やりたくてもできない子になりましたが、一時期は、自分の欲しいモノをとられたり、ちょっと肩がぶつかっただけでも怒りだし、相手をたたく、噛むという行為をしていました。
ある日のこと、ルカパパと公園で遊んでいたときのこと、年下の男の子がルカに向かってなにやらはやし立てた・・・と思ったら、いきなりその男の子のほっぺをがぶり・・・。
その子のほっぺにはルカの歯形がくっきりと残ったそうです。
今思えば、そのときその子の家に謝りに行けば良かったのですが、こちらが一方的に悪いわけではないという思いから、そのままにしてしまいました。
それからというもの・・・被害にあった子は、4・5人の仲間を引き連れて「あいつは僕を噛んだんだ、仕返しだー」と、事あるごとにルカを追いかけ回し、攻撃をしかけてくるようになりました。
向こうには筋のとおった理由があり、私も「やめて」という言葉に力が入らない・・・
でもしつこかった!! 多分1年とか2年とか年単位でやられていたと思います。
自分の子が暴力を働いた場合、手を出した方が悪いのは承知しているつもりでも、自分の子供のこととなると、だって向こうだってルカに手を出させるようなことしたじゃないか、と反論したくなります。
でも・・・
ミミが小学校に入ってから、やはり腕に歯形をつけて帰ってきたことがありました。
同じクラスの男の子にやられたという話で、そのとき身にしみて傷をつけられた親御さんの気持ちがわかりました。
どんな理由にせよ、手を出したら謝るべきなんですよね。反省してます・・・
幸か不幸か、現在はやられることはあっても、その逆はなく、よその子に私が謝ることもなくなりました。
私から言わせるとやられた方が気が楽かもしれない。
特に大きくなってからも、他傷行為が治らないとなると、事は深刻ですよね・・・


◆鍵の恐怖◆
小さい頃から、水たまりがあると、びちゃびちゃと洋服が濡れるのもお構いなしで水遊びにふけっていたルカ。
梅雨になるたびに、私はルカの洗濯物に追われて、半狂乱?でした。
外に出すと、水たまりに走っていって、洋服をあっという間に濡らすので、雨の日は極力外にでないようにしていたのですが、それはそれで、家でも退屈なわけで・・・。
ベランダぐらいはいいかと思い、ベランダに出すと、そこにもわずかの水たまり。
ルカは、それを見逃すはずもなく、なんと、顔を洗ったりする始末。
もう、ベランダ遊びもだめだなあ・・・「ルカ、中に入って!」という私の声も聞こえず、水遊びにふけるルカ。
私も頭にきて、サッシを締めて、鍵をかけてしまった・・・
ちょっとした懲らしめのつもりで。
中に入れないことにきづいたルカは、お見事パニック。
鍵を開けて、
「だから、はやく中にはいれって言ったでしょ」といっても、しばらくパニックは収まりませんでした。
それからです。サッシに限らず、ドアの鍵がしまって開かないことがあるたびに、パニックを起こすようになってしまいました。
きっと、鍵の存在をルカは知らなくて、いきなりドアが開かなくなるので、混乱していたんだと思います。
不器用なルカは、鍵の開け方を覚えるのも、大変でした。
小学校に入ってから、鍵を使えるようになり(だいぶ練習しました)、ドアがしまっていても、鍵を持っていれば、大丈夫なようになりました。やれやれ・・・。

◆正義感に燃えるルカ◆
ルカ6才の頃。
多動だったルカ。私は、いつもルカに「走ってはいけません」と、注意していました。
ある日、散歩をしていると、ジョギングをしている男性を発見。
ルカはすかさず、男性の前に立ちはだかり、通せんぼをして、
「走ってはいけません!」と叫んだのでありました。
さすがに、現在このようなことはありませんが、つい最近まで、
学校の遠足で身につけたのか、家族で外出すると、
「はい、一列に並んで。」と言って、家族の並ぶ順番まで決め、
「集団行動の決まりは守る!」と、私たちに強要していた時期がありました。トホホ・・・

◆バスのこだわり−3−◆
ルカ6才の頃。
バスの座席のこだわりで、運転席のすぐ後ろの席に座りたがることがありました。
他の席に連れていこうとすると、「いやだ、いやだ」とうるさいので、座席が空いているときは、運転席のすぐ後ろの席に座る事を許していました。
別に座っているだけなら、なんの問題もなかったのですが・・・
ある雨の日、ルカはいつものように運転席の後ろの席に着席。
その日は、雨のせいで道路が渋滞しており、運転手さんもいらいらしていたようです。
ルカは、席から身を乗り出して、運転の様子をじろじろながめ、挙げ句の果てに、
「おい、運転手〜」と話しかけしてしまいました。
あと少しで下車する予定だったので、私も冷や冷やしながらも「ルカ静かに」と小声で注意しながら、席を移動しなかったのがまずかった。
「おい、おい!」とだんだんエスカレートするルカに、ついに運転手さんも辛抱できず、
「うるさい!」と一言。
まもなく、自宅近くのバス停に到着し、私たち親子は下車。ミミも一緒でした。
バスの中では、何とか平静を装っていた私。
いつもは、家について玄関のドアを閉めてからキレる私でしたが、このときは我慢がならず、
バスを降りたとたんに
「ルカ、あんたはどこまで、私を困らしたら気が済むの!!」とかなんとか、大きな声で怒鳴りながら、帰路に着きました。
あまりにも声が大きくて、近所の建物に私の声がこだましていたようが気が・・・
さすがに、そのときのことはルカも覚えていて、
「あのとき、お母さんすんごい怒ってたよね〜、俺が悪いんだから仕方ないけど」と、納得の様子。
しかし、ミミはもっとクール。
「お母さんが、最初からその席に座らせなければ、よかったじゃん!!」と言われてしまいました。
そうだよ、あんたの言うとおり。
それからは、何がなんでも、非情なる決意のもとに!?ルカの希望の席には座らせないようにしました。

◆バスのこだわり−2−◆
私が車の運転をしないので、バスに乗ることが多く、バスネタは豊富です。
ルカはバスに乗車する際に、自分の席を決めてしまうことがあり、そこにすでに人が座っていたときのこと。
「そこは僕の席です。どいて!!」と、宣言したのでありました。
スイマセン・・・といいながら、他の席にルカをズリズリ引きずっていった私です。

◆バスのこだわり−1−◆
5才頃から、知恵がついてきて、こだわりもバラエティ豊かになりました。
市営バスのピンポンの形が微妙に違うのを私はルカに教えてもらいました。
わずか直径1cmのあのボタン。
四角と丸い形があるのです。(ブザーの全体の形ではありません。指で押すところの形です)ルカはどういうわけか、四角い形にこだわり、ピンポンが丸い形のバスがくると、乗車拒否。
あんなちいさなものが、バスに乗る前からなぜ見えるんでしょうか・・・・・
古い型のバスと新しい型のバスで、ピンポンの形が違うという話もあります。
今も違うのかなあ・・・

◆人と物の区別◆
あれは、人との会話がちょっとできるようになった頃、4〜5才頃でしょうか?
私は、あいさつすると、行動にもけじめがつくし、将来礼儀正しいと好感度もアップ、ということで、ルカにあいつをしっかりするように教えました。
するとルカは、夜はガステーブルに向かって「お休みなさい」、自転車を間違えて倒すと自転車に向かって「自転車さんごめんなさい」と、言っていたのでありました。
うーむ、あいさつをすることはいいことですが、妙だなーと悩めるルカママでした。


前に戻る